【記者座談会】衆院総選挙 建設産業界の受け止め方は | 建設通信新聞Digital

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【記者座談会】衆院総選挙 建設産業界の受け止め方は

大島理森衆院議長が解散詔書を読み上げ、万歳する議員(9月28日)


A 10日公示・22日投開票の衆院選は政権選択選挙だと言われる。衆院選に対する建設業界の受け止め方は。
B 参院選は建設業界の職域代表を国政に送り込むための活動を業界全体が取り組む。一方、衆院選は289の小選挙区、176の比例代表合わせ計465議席の議席取り合いが本質で自ずと業界の取り組みは違う。業界として衆院選に関与するなら、戦後、一時期を除いて与党の立場にある自民党支持を前提に小選挙区内の対応になると思う。あくまで安定的な政治の継続を求めているからだ。
C しかし建設業界も昭和の時代と比べると、国政選挙への関心度合いが低くなっている気がする。大ざっぱに言うと、地域の建設企業内でも会長・社長を務める父親世代は選挙活動に前向き、今後の建設市場の行方に危機感を抱き、なんとか生き残り策を考えている次期社長候補の息子世代は国政選挙に無関心という構図だ。
D 建設業界でも選挙への関心が低下していることは否定しない。でもそれは、希望の党の小池百合子代表が民進党候補者を、排除の論理で選別することを明言し、民進党の一部が新党立ち上げを表明して以降、特に顕著になっていると思う。裏を返せば希望の党への警戒感が薄まったと言える。明らかに小池代表が排除を明言してから潮目が変わった。
A 排除発言前と後の違いは。
C 排除発言前の小池さんと希望の党には明らかに自民党さえしのぐ勢いというか強い追い風を感じた。ただ排除発言後にはこの風もしぼみ始めた。自民党や建設業界が勢いや強い追い風を脅威と感じるにはわけがある。政権交代を果たした民主党が圧勝した2009年夏の衆院選の事例があったからだ。
A 衆院選は、自民党、希望の党、立憲民主党の3極が中心と言われるが。
D 希望の党代表の小池さんは都知事選出馬以降、一貫した特徴として、都議会自民党、豊洲市場の地下水、高い落札率といった単一の対象を批判の的に絞り、都民に提示する「劇場型政治」が挙げられる。小泉政権の「自民党をぶっ壊す」「郵政民営化」を訴えて支持率の高さを武器に政策を進めてきた手法に近い。もう1つ指摘すると、小池さんの発言は、「しがらみのない政治」「賢い支出」というように、あいまいだけど受け取る人間によって解釈がそれぞれ違う修飾語が多く、明確な政策メッセージになっていない。だから中小建設業を中心に小池都政が入札制度改革の基本方針を突如公表したときに、それまで知らされていなかった内容を問題に猛反発した。結果的に業界の声を反映する形で、制度改革の内容も見直さざるを得なかった。要は、あいまいな文言の政策が突然、問題があり受け入れがたい内容となって浮上することへの警戒と言える。
B 一方、例えは悪いが民進党は党トップが自らの船を爆破させた自爆テロの様相を見せている。当初は、民進党という船を船長の前原誠司代表が捨てて、希望の党という新たな船に全員が乗り移ろうとしたら、乗船できず排除される人間が出ることを新たな船の小池船長が明言した形だ。
C 09年夏の衆院選で民主党は308議席を獲得、財源はいくらでも掘り出せるとの主張を実現すべく、事業仕分けに踏み切った。あれからまだ10年も経っていないなか、仕分けする側の人間が仕分けされる側に回るとは、いったい誰が予想しただろうか。
A 衆院選は少なくとも地方建設業界にとって、与党である自民党の選挙公約に地方創生が盛り込まれたことで一安心というところか。

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