【立体映像活用は世界初】AIやVRで能登半島地震の災害調査/九州整備局 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【立体映像活用は世界初】AIやVRで能登半島地震の災害調査/九州整備局

3Dモデルを用いホームページ上で測量が可能

 九州地方整備局は、2024年能登半島地震でデジタル技術を使った災害調査を実施した。インフラDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環となり、世界で初めて空間再現ディスプレーの立体映像による防災情報の共有を試みたほか、AI(人工知能)やVR(仮想現実)を活用することで迅速な災害対応を可能にした。ドローンで撮影した360度画像や3次元点群データなどはホームページ(https://www.qsr.mlit.go.jp/bousai_joho/r6notohantoujishin/index.html)で公開している。

 21年4月に同局企画部内に設置したインフラDX推進室の職員をTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)として派遣し、石川県の輪島市や珠洲市で1月中旬に災害調査を実施した。

空間再現ディスプレイ 提供:ソニー


 立体映像による防災情報は、九州地方整備局と国土交通本省の間で共有している。空間再現ディスプレーは、ソニーが独自開発した視線認識技術を使い、裸眼で極めて鮮明な立体映像を見られる。このため、これまで平面モニターで表現していた3次元モデルを、空間再現ディスプレーを使うことではるかに多くの情報を直感的に理解できるようにした。

 災害調査におけるAIの活用、VRを使った情報公開・共有も全整備局初の試みとなる。ドローンで撮影した写真をフォルダーに入れるだけで、点群データ、3Dモデル、オルソモザイク写真、DSM(数値表層モデル)などをAIが自動的に生成するシステム(スイスのPIX4Dが開発)を使い、職員の負担軽減につなげた。VRは、消防などに提供することで人命救助などに役立てている。

 インフラDX推進室の房前和朋建設専門官は「現地の通信回線が壊滅していた影響で遠隔操作可能なVTOL(垂直離着陸型固定翼)機が使えず、従来のドローンを使って撮影した。毎朝4時に出発し、7時間かけて現場に向かった。現場の気象条件は厳しかったものの、良いデータを取得できた。さまざまな用途で誰もが画像などを使えるように公開しており、災害救助や復旧に向けた安全な調査に役立ててほしい」と語った。

 

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