【魅力ある会社に】"メロン肩"に"建築バカ"を募集 仕事の楽しさアピールに挑む大熊工業 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【魅力ある会社に】“メロン肩”に“建築バカ”を募集 仕事の楽しさアピールに挑む大熊工業

 「中小建設業なりの楽しさを模索したい」と、大熊工業(東京都西東京市)の大熊英樹社長は話す。総勢90人の建設会社だが、従業員自らが自社の取り組みを発信し、楽しく仕事できるようにアイデアを出し合う風土づくりに取り組んでいる。「現場にスターバックスの出張店舗があってもいいと思う」と大熊社長。時には他社とも協力し、若手に魅力ある会社や現場をつくりあげている。
 まるでメロンが詰まっているような、鍛え抜かれた屈強なメロン肩の人物を募集しています--。これは土木事業部の採用広告だ。応募条件は未経験者歓迎、学歴不問、ただしメロン肩であること。合致すれば1次面接は合格となり、社長との最終面接となる。
 土木事業部では現在約50人の社員が、地盤改良工事などを手掛けている。仕事はあるが、若手の人材採用に苦戦していた。人材募集サイトに登録しても人が集まらず、中途採用を含めても思いどおりの人数が集まらない。そこでエンターテインメント性の高いコンテンツに定評のあるウェブ制作会社の面白法人カヤック(神奈川県鎌倉市)に、事業企画や宣伝戦略のブランディングを依頼。どうすれば自社の魅力を外部に発信できるかを徹底的に検討した。大熊社長は「土木事業に関心のない人にも、自社に対する共感や信頼感を持ってもらい、その中から就職希望者が現れれば理想的だ」と考えていた。
 “メロン肩採用”も、カヤックとのブレーンストーミングの場で生まれた。現在、ボディービルダーを含む6人の応募があり、最終面接に進んでいる。ただし「土木現場では、コミュニケーション能力があって、規律を守れる人物が必要。面接は1回だが、そこは見極めたい」。大熊社長は慎重に対話する。

社内交流会の様子をおさめた掲示板

 同社では、社内の部活動や交流会の様子をブログやFaceBookで発信する仕組みを整え、社員が活動を随時公開している。部活動として「テニス部」「料理部」「文化部」などを社員が創設し、自由な発想で活動する。そのほかにも、健康促進のためにオフィスでヨガを行ったり、社外研修旅行として国内外問わず社員自ら行先を選び、自身の成長につなげている。「社外から見て、こんな会社があるならぜひ転職したいと思ってもらえるように部活動を推奨している。充実した活動のために、もちろん部活動費も支給している」(大熊社長)。
 これまで土木事業部の社員は特に、自己表現が少なかった。ウェブへの投稿などは、見る・聞く・書くことへの関心を養う効果もある。最近は土木事業部の雰囲気も変わってきた。社員が現場に向かう時「いかにも現場への通勤」という外見の車ではモチベーションが上がらないという発言があったため、スタイリッシュで通勤ストレスのない乗り心地の良い車を導入した。従来のヘルメットは厚くて重たく、野暮ったいという意見に対しては、夏場にも快適な薄くて軽い、風を通すデザインに変更した。「公共工事は、一般の方々の目に触れにくい仕事だが、すべてを閉じてしまっては人が集まらない」(同)。事業部内のエピソードを引き続き発信していく方針だ。

大熊英樹社長

 ベトナム人の技能実習生も8人いる。日本の生活習慣や文化に慣れるまでは、同国人同士で暮らせるように一軒家を社宅として用意し、日本の生活に順応した者から個室の独身寮で暮らすように勧めている。独立した現場作業員として扱いながらも、社内とSNSでつながりを作り、その日どんなことを感じたり、考えたのかを受け止めるようにしている。
 次回はインテリア事業部で「建築バカ」を募集する予定だ。社外に向けて発信しながら、自らも、自社ならではの魅力を育てていく。

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