【i-Con2024⑩】JR東日本・JR東日本コンサルタンツ 先端技術の活用 | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

B・C・I 未来図

【i-Con2024⑩】JR東日本・JR東日本コンサルタンツ 先端技術の活用

よりよい暮らしへ開発促進/他分野での活用も視野

東京ステーションナビによるルート案内イメージ。最短ルート(左)と段差解消ルート


 JR東日本コンサルタンツ(JRC)は、鉄道を基軸とした調査・計画、設計、メンテナンス等を手掛ける一方で、ICTやAI(人工知能)といったデジタル技術を用いた開発にも力を注いでいる。

 JRCが開発しJR東日本クロスステーションが導入したナビゲーションアプリ『東京ステーションナビ』は、東京駅を安全・安心・快適に利用してもらう「Sta・aaS」(Station as a Service)の実現を目指し、2020年8月からサービスを開始している。JRCが作成した駅構内図の屋内地図データとビーコンなどの屋内測位インフラを掛け合わせることで、GPSが効かない駅構内などの屋内でも、iOS・Androidともに高精度に自位置を確認できる。駅および駅周辺の商業施設を含む約700軒の店舗検索やJR東日本・他鉄道会社の運行状況など利便性の高い情報を届ける。

栗原氏

 
 同ナビの累計ダウンロード数は「サービス開始後、右肩上がりで増加しており、23年末時点で30万を超えた」(ICT事業本部デジタルツイン事業部門の栗原一行課長)。23年12月には、東京都知事から「令和5年度福祉のまちづくり功労者に対する知事感謝状」をJR東日本クロスステーションとともに受賞した。今後は、国土交通省の高精度測位社会プロジェクトの成果を活用し、同省が推進する3D都市モデル「PLATEAU」(プラトー)のユースケース開発実証事業との連携により、同ナビの適用範囲の拡大を目指す。

笠氏

 数年前からAIを活用した取り組みにも注力している。駅モニタリングシステム「駅モニ」は、ベビーカーや白杖者、車椅子を自動で検知するもので、多くのモニターを監視する駅社員業務の負担軽減につなげる。JRCでは、22年春から私鉄の駅で運用を開始しているほか、JR大宮駅でも24年4月からの本格運用に向けて調整を進めている。

 超過密人流の自動計測「Gunsyu(グンシュー)」は、これまでの調査員による目視計測に代わり、画像AIにより自動解析するシステムで、1時間当たり約2万人の超過密人流でも高い人物検知能力を発揮するとともに、自動カウントの精度も高い。イノベーション事業推進室の笠雅之担当部長は、「22年4月から品川駅東西自由通路や渋谷駅切換工事前後の流動解析にも導入しており、今後は実績を重ねつつ、群衆が着目される他分野での活用も視野に入れながら発信強化に努めていく」と意気込む。


超過密人流でも高い人物検知能力を発揮するGunsyu



【B・C・I 未来図】ほかの記事はこちらから



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら