【記者座談会】能登半島地震の復興加速化/災害廃棄物処理 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】能登半島地震の復興加速化/災害廃棄物処理

◇生活、なりわい再建へインフラなど本格復旧

A 能登半島地震の発生から既に2カ月以上が経過した。復旧・復興に向けた動きは。

B 政府は1日に2023年度予算の予備費(第3弾)から1167億円の使用を閣議決定した。このうち一般会計の公共土木施設と公共施設の復旧は928億円で、国土交通省分が829億円となる。特別会計でも空港施設の復旧に12億円を充てる。災害復旧の公共事業関係費は道路が454億と最も多い。

C 被災自治体による復興まちづくり計画や住まいの復興計画の策定支援も盛り込み、11億円を計上した。これは、緊急復旧からなりわい再建の段階に移行していくことを示しているともいえる。計画策定の支援に当たっては、被災地の人口や被害状況の確認とともに、まちづくりや住まいに対する住民の意向をくみ取ることが大切だ。意向を踏まえて復旧方針、必要施設、復興への事業手法などを検討する。大規模火災が発生した石川県輪島市や珠洲市などで先行きの見えない不安に襲われている被災住民が、できるだけ元の生活に近い環境に戻れるよう、居心地のよいふるさとにしてほしい。

A 現地の詳しい状況が把握しづらい中、北陸地方整備局の広報活動は被災者だけでなく、遠方で暮らす親族への安心感にもつながっていると聞く。

D 今後は、復旧や被災者支援が本格化し多数の作業員、ボランティアが現地入りすることから、より日常生活に近い情報が求められる。SNS(交流サイト)では、一般ボランティアなどの発信が目に入りがちだが、国が発信する情報は、正確性の高さからも心強いだろう。実働部隊として地域建設業と連携が取れているという認識が広がれば、不安の払拭につながるはずだ。

B 有事の際のスムーズな理解のためにも、日々の発信活動の重要性を痛感する。報道機関の役割も改めて考える必要があるだろう。

A 生活再建、なりわい再建には災害廃棄物の迅速な処理が鍵を握っているね。

火災被害にあった輪島市。住民に寄り添ったまちづくりが求められる

◇25年度末処理完了目標、人員確保に課題

E 石川県が2月29日に災害廃棄物処理実行計画を策定した。25年度末の処理完了を目標に、県全体での推計発生量244万tのうち、陸上輸送や海上輸送で38万tを県外で処理する。また、コンクリートがら118万tは破砕し、国や県、市町の復興事業での建設用資材として活用する。

F 損壊家屋などの解体撤去は約2万2000棟と推定、25年10月末をめどに解体作業を終える。1棟当たりの解体日数は、「思い出の品」の回収なども含めて10日を見込む。4、5人を1班とした解体班を約500-600班投入する計画だ。

G 最大の課題は作業員の確保と宿泊場所の拠点づくりといえる。県内の解体事業者と建設企業では足りないことが明らかだ。近隣県の解体事業者、建設企業に協力を求めざるを得ないだろう。

F 今回の災害は、市町だけでは対応が困難なため、国や県などが人的支援をする。財政面でも基金を設けて処理費用の自治体負担を限りなく少なくする。

E 災害廃棄物処理は市町の実施が原則になっている。現在は関係市町が家屋解体の申請を受け付けている段階。一定の解体撤去数になったところで業務を委託する。委託は最短でも今月末という。関係市町は損壊家屋の解体・運搬業務を石川県構造物解体協会、仮置き場の設置・運営・災害廃棄物処理業務を石川県産業資源循環協会に委託する見通し。解体は協会に加盟する解体事業者、建設企業に業務を割り振ることになりそうだ。

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