【記者座談会】通常国会が開会/鳥インフルエンザ過去最多 | 建設通信新聞Digital

5月9日 木曜日

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【記者座談会】通常国会が開会/鳥インフルエンザ過去最多

◆GX推進法案など60本提出予定

A 会期を6月21日までの150日間とする通常国会が23日に開会した。政府は60本の法案を提出する予定だね。

B 国土交通省関係は、予算関連法案の地域公共交通活性化再生法改正案、道路整備特措法と日本高速道路保有・債務返済機構法改正案など5本となる。

C 地域公共交通活性化再生法改正案は、ローカル鉄道について自治体や鉄道事業者からの要請に基づき国土交通大臣が再構築協議会を設置できるようにする。道路整備特措法などの改正案では、高速道路の更新や改良の財源確保に向け高速道路料金の徴収期間を延長する。高速道路会社がサービスエリアやパーキングエリアで自動運転車両の拠点施設や電気自動車充電施設の整備で金融機関から調達した資金の利子補給分を貸し付ける「特定駐車場施設整備事業補助制度」も創設する。

A 国交省関係以外の主な提出法案は。

D GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債発行やCP(カーボンプライシング、化石燃料賦課金、排出量取引制度)導入などの脱炭素成長型経済構造円滑移行推進法案(GX推進法案)がある。新法制定によって、業種や企業規模に関係なくGXの取り組みを一層進めることが求められるようになる。

C 建設産業との関連では、地域と共生した再エネの最大限導入拡大支援、安全確保を大前提とした原子力の活用・廃炉推進に向けたGX脱炭素電源法、水道行政を厚生労働省から国土交通、環境の両省に移管する生活衛生等関係行政機能強化関係整備法案などがある。

D 岸田文雄首相は、子ども・子育て支援を政権の最重要政策に据えた。これは、巡り巡って建設産業での担い手確保にもつながっていく政策といえる。防衛費の大幅増に伴う増税なども焦点だ。審議は荒れ模様も予想されるけど、政府はこれら提出法案の会期内成立を目指す考えだ。

地域建設業が防疫作業に奮闘

鳥インフルエンザの防疫作業を行う新潟県内の地域建設業


A ところで、鳥類の伝染病「鳥インフルエンザ」が猛威を振るっているね。

B 農林水産省の集計によると、今月10日に宮崎県内の養鶏場で発生が確認され、一つのシーズンとしては初めて1000万羽を超えた。養鶏所などでの発生数も過去最多を更新していて、26日午前10時現在で25道県の66カ所となっている。

C 恐らく、防疫作業を担った地域建設業の数も過去最多だろう。殺処分されたニワトリなどを24時間態勢で運搬・埋却・埋め戻す作業は体力的にも精神的にもタフでなければ務まらないだけに、頭が下がる思いだ。

B 自然災害と同様に迅速な対応と高い技術力も求められる。人畜共通感染症の鳥インフルエンザは、変異すると人への感染の恐れがあることから、豚熱などよりも早く処理する必要がある。作業員は防護服を着て自身の健康を管理しながら、現場で段取りを組み、処理を進めなければならないため、高度な技術力が不可欠という。

D 防疫作業を要請した、ある県の幹部は「夜間に設計図もなく、自身の勘と経験だけで掘削する仕事は高い技術力を持つ地域建設業にしかできない。皆さんの労苦に感謝したい」と話していた。

C 防疫作業の実績を総合評価落札方式や入札参加資格審査で加点評価する自治体も少しずつ増えてきた。今シーズンの発生箇所数を考えると、地域建設業の労苦に報いる自治体は増加するだろう。

A 一般的にウイルスは寒さと乾燥に強く、冬場に猛威を振るいやすいとされるので、“地域の守り手”の出番も続きそうだ。ぜひ、安全第一で作業を進めていただきたい。

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