【25年本格事業化へ】フィルム型ペロブスカイト太陽電池、設置方法を確立/積水化学工業 | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

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【25年本格事業化へ】フィルム型ペロブスカイト太陽電池、設置方法を確立/積水化学工業

学校プールに設置した浮体式PSC


 積水化学工業は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)の活用拡大に向けた取り組みを加速している。倉庫や工場の壁面、水上アセットなどへのPSCの設置方法を確立する実証実験を鋭意進めており、それらの成果を踏まえて2025年の本格的なビジネス展開を目指す。 PSCは、軽量で柔軟な特徴を持つ。従来のシリコン系太陽電池では困難だった場所にも設置でき、PSCの活用は再生可能エネルギーの導入量の拡大につなげることで、脱炭素社会に貢献する。

 同社は3月、センコーグループホールディングス(東京都江東区、福田泰久社長)、センコー(大阪市、杉本健司社長)と、太陽光発電ポテンシャルが大きい倉庫、工場の壁をターゲットとした設置方法を確立する共同実証実験を始めた。茨城県古河市にあるセンコー茨城支店の茨城PDセンターに16枚(16㎡)のPSCを導入したところ、施工準備から配線収納まで6時間で完了することを確かめた。発電能力、耐風性をはじめとする耐候性を1年間かけて検証する。

 エム・エムブリッジ、恒栄電設(東京都北区、小林永治社長)とは、PSCをプール上に設置するための共同実験を4月から開始した。浮体式のPSCの実証は国内初の事例だという。従来の水上設置の浮体式太陽光発電システムでは、太陽電池と架台の重量を支持する浮体構成や施工性などに課題があった。実証実験では、軽量性を生かして北区の閉校となった学校プールに浮体式PSCを設置。今後1年間、浮体構成や施工性、発電性能を検証する。

 積水化学工業は、10年間相当の屋外耐久性を確認済みで、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している。同製造プロセスによる発電効率15%のPSC製造にも成功した。今後、さらなる活用可能性を拡大するため、発電効率20%、耐久性20年の確保、1m幅の製造技術の確立を目指す。

 

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