積水化学工業は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池(PSC)の2025年の事業化に向けた取り組みを進めている。軽量で柔軟な特徴を生かし、さまざまな場所に設置できることが、普及加速のカギとなる。同社はこれまで、倉庫や工場の壁面、水上アセットなどへのPSCの設置方法を確立する実証実験を進めている。今回、コスモ石油、朝日エイテックと共同で、PSCをサービスステーション屋根と事業所のタンク壁面に設置するための実証実験を始めた。全国の耐荷重が少ない屋根や垂直曲面設備への展開を目指す。
実験は、埼玉県幸手市にあるコスモ石油中央研究所と、同県加須市の朝日エイテック東京工場で実施している。期間は、いずれも1日から1年間を予定している。
実証では、積水化学工業が製造するPSCを、朝日エイテックの設置、施工技術を使ってコスモエネルギーグループが運営するサービスステーションの屋根や事業所のタンク壁面などに設置できるかを検証する。
50年カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーの導入拡大が求められる中、太陽光発電は主力電源とされている。日本は平地面積が少なく、従来のシリコン系太陽電池では適地が限られるが、PSCを導入することで従来は設置が困難だった場所に適用できる可能性が増し、再エネ導入量を拡大できる手段として期待がかかっている。
PSCの事業化については、官民連携も進む。経済産業省は5月、PSC実用化に向けた実用化を目指す官民協議会を発足した。メーカーなど企業や建物の設計施工を担う設計や建設業の関係団体、関係自治体など150社・団体超が参加している。導入目標や価格目標の策定、国内サプライチェーンの構築、海外市場の獲得に向けた対応などを議論し、次世代型太陽電池戦略を今夏中に策定予定であり、行政もPSCの事業化を後押ししている。