【BIM2024⑮】ビム・アーキテクツ BEP策定支援軸にコンサル展開 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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【BIM2024⑮】ビム・アーキテクツ BEP策定支援軸にコンサル展開

情報の積上げが設計の楽しさに

山際氏

 ビム・アーキテクツ(東京都世田谷区)が、BIM実行計画(BEP)の策定支援を軸にしたBIMコンサルティングを積極展開する。山際東代表は「CDE(共通データ環境)を整え、BEPに沿って、BIMマネージャーが的確に運用管理する流れをしっかりと位置付けることが重要」と語る。BIM導入に踏み切ったものの、思うように定着しない悩みをもつ企業もある。状況を打開する上でも「BIMで設計する楽しさを理解してもらうことが近道になる」と強調する。

 背景には、2025年4月の開幕に向けて整備が進む大阪・関西万博で、同社が会場施設のBIMデータ統合管理業務を進める中で「改めてBEPの重要性を実感した」ことが深く関係している。万博では、約190にも及ぶパビリオンなどの関連施設からBIMデータの納品を位置付けており、同社はそのデータを活用するためのCDE構築や運用管理に加え、各施設のBIMデータ統合管理も担っている。

 各施設の設計者は、独自または同社が提示したフォーマットに基づき、BEPを作成している。同社は各設計者とクラウド上でやり取りし、提出されたBIMデータがBEPどおりに構築されているかを確認した上で、データの統合を進めている。開幕まで1年を切り、実施設計のデータ提出が増えてデータ統合は進んでいる状況だ。

CDEとBEPのイメージ


 「ただ、提出データの中には2次元データを後付けでBIM化したケースもあるように思え、企業として十分にBIMを使いこなせていない状況を知る機会にもなった」と明かす。国土交通省BIM推進会議での議論が本格化し、民間プロジェクトへのBIM普及促進に向けた加速化事業もスタートしている。日本におけるBIM普及の気運が高まっているだけに「BIMデータを最大限に活用するために貢献したい」との思いを強く持っている。

 企業が社を挙げてBIMを導入するためには、まずCDEを整備し、BEPに基づき、BIMプロジェクトを的確にマネジメントする流れが求められる。「大切なのはしっかりとしたBEPを策定することであり、それによって目標が明確化し、方向性が定まる。そのBEPに基づいてプロジェクトを的確に管理するBIMマネージャーの存在も重要になる」と強調する。

 企業へのBIMコンサルティングでは、BEP策定の支援からBIMマネージャーの支援にも取り組む。「万博の業務でBEPのフォーマットを提示したように、当社が示した枠組みに、自らの設計ワークフローに合わせてBIMデータ構築の流れを整えていくことがCDEへの近道にもなる」と説明する。

 同社が販売するBIM支援ツール『AReX』(AX)は、もともとBIMソフト『Revit』を使う企業へのBIMコンサルティングツールとして活用していた。現在はファミリ作成管理・ライブラリ「AX-Family」、基本設計「AX-Planner」、実施設計「AX-DD」、構造設計「AX-ST」、生産設計・施工「AX-CM」、コスト「AX-Cost」、データマネジメント「AX-DM」、維持管理「AX-FM」の8ツールがあり、建設ライフサイクルを通してラインアップが整っている。「AXはRevitの中にある情報をより効果的に利用できる。当社がBIMコンサルの経験から得た最適なBIMワークフローを前提にした支援ツールであり、いわばBEPに基づいて開発された設計ツールである」と力を込める。

 同社のコンサルティングでは、BIMを「建築の情報化」として位置付けている。2次元図面ありきの後付けBIMでは、 せっかく社を挙げて取り組むBIMが業務負荷の要因になってしまう。「図面を書くのではなく、情報を積み上げて建築することが前提になれば、BIMで設計する楽しさをより実感することができるはずだ」

 建築の情報化によって厳密な環境シミュレーションも可能になり、それが最終的に維持管理段階のBIM活用にも展開できる。同社はBIM導入の支援だけでなく、建物ライフサイクルを通じて活用するコンサルティングについても展開していく方針だ。

大阪・関西万博でのデータ管理イメージ



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