◇利益の改善進む中、大型M&Aも
A 決算シーズンを迎え、さまざまなニュースが飛び交っているね。
B まずは決算から触れよう。担い手不足と資材価格の高騰が引き続きの課題となる中、2025年3月期は全体として堅調な業績だったようだ。日刊建設通信新聞社が大手・準大手ゼネコン25社(単体27社)の決算を集計したところ、連結売上高は飛島ホールディングスを除いた24社のうち、17社が前年同期比で増収となった。8社は過去最高を更新した。連結の営業損益は18社が増益で、2社が過去最高となっている。
C 物価上昇により工事単価が高騰していることから、増収傾向は自然の流れだ。一方、損益面では、各社が好調な市況を捉えて利益率重視の受注姿勢を強めたことが奏功し、業績が好転している。
B 26年3月期は、“トランプ関税戦争”の影響を注視する必要があるものの、依然として旺盛な民間投資や底堅い公共投資を背景に、各社とも引き続き利益率の改善を目指していく構えだ。
A 決算発表がピークを迎えた14日には、インフロニア・ホールディングス(HD)による三井住友建設の買収が発表された。
B 三井住友建設の株式については、アクティビスト(物言う株主)による買い増しもあり、業界内ではさまざまな臆測が飛び交っていた。そうした中での突然の発表には驚かされた。
C インフロニアHDの岐部一誠社長は、「請負と脱請負の融合という、日本で唯一のモデルを目指している」としており、今後の展開に一層の注目が集まっている。
B 社会構造の変化により担い手不足が深刻化する中、今回の買収は、建設業界のM&A(企業の合併・買収)戦略に大きな一石を投じたと言える。
◇大阪東部、京橋エリアの再整備が加速
A ところで、大阪では「大阪城公園周辺地域まちづくり方針」が策定された。大阪府と大阪市が共同で検討してきたもので、大阪京橋駅周辺や大阪ビジネスパーク駅周辺、森之宮周辺(大阪城東部地区)が対象になっている。
D もともと森之宮周辺エリアは「大阪城東部地区」として1・5期までの開発方針が既に示されていた。今回の方針でも、1・5期開発方針に沿って「大阪公立大学のキャンパスを中心とした『知の拠点』形成を図るほか、アリーナ・ホールなどの複合開発、新駅の上部空間高度利用などにより集客・交流空間を創出する」としている。
E 今回の方針策定のポイントは、初めて京橋駅周辺のまちづくり方針が示されたことだ。JRと京阪電鉄の京橋駅交差地点から南北の新たな歩行者ネットワークを形成するとともに、国際的な集客・滞在・商業空間の創出を図る考えのようだ。
D 先日、大阪市の建設事業評価有識者会議は、14年度から休止しているJR片町線・東西線の地下化(連続立体交差事業)の再開について『妥当』という判断を下した。26年度にも正式に再開する見通しだ。事業地に京橋エリアも含まれている。京橋の再整備が一気に動き出す可能性はある。
E 方針策定後は、内閣府の特定都市再生緊急整備地域指定に向け、民間都市開発の検討を進める。地元、企業、行政、大学が共同でイノベーションプラットフォームを設置。都市課題の解決やスタートアップ・オープンイノベーションを支える人材の育成に向けて取り組むようだ。
A 大阪の西側ではIR(統合型リゾート)の開発が今後本格化する中、東側の大阪城公園周辺エリアからも目が離せないね。