【次の成長へ技術を重視】
ミライト・ワンの新社長にNTT出身の菅原英宗氏が6月25日付で就任した。通信建設事業を中核としながらゼネコンの西武建設や航空測量大手の国際航業を迎え入れるなど、積極的なM&A(企業の合併・買収)によって事業領域を拡大し、急成長を遂げた企業グループのかじ取りを担う。「事業環境が堅調な今、次の成長に向けた準備をしっかり進める」とさらなる飛躍を目指す菅原社長に、今後の経営方針を聞いた。--就任の抱負は
「この約10年間で企業規模が倍以上になった。M&Aで伸びてきたところが大きく、成長路線にある。成長をさらに加速させなければならない時期にある。こうした中での社長就任は、身の引き締まる思いで、責任の重さを感じている。同時に、次の成長を考えると楽しみで、わくわくしている。この会社にはベンチャー気質があり、伸びる余地がまだある」
「NTTでは、制度面に関する総務省との協議やビジネス開発、営業も経験したが、人工衛星を制御する技術の開発を手掛けるなど、もともとは技術屋だ。数十年先も競争で優位に立てるよう、次につながる技術にグループとしてしっかり取り組む」
--注力する分野は
「通信をベースとしつつ、それ以外の成長領域を『みらいドメイン』と称し、グループ会社と連携しながら伸ばしている。グリーンエネルギー、環境、データセンター、AI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、まちづくりが主な分野だ。ICTにも注力し、特にO&M(運転・保守)のリカーリングビジネスに力を入れる」
「みらいドメインを伸ばすためには、人材の確保・育成と適材適所の配置がポイントになる。採用活動を強化するとともに、みらいカレッジでリアルとデジタルの両面から育成を進めている。人材育成で大事なのは会社を好きになってもらうこと。働きやすい会社にするため、ワークライフスタイル改革も進め、ES(エンプロイーサティスファクション)を上げていく」
「みらいドメインは通信建設事業とお客さまが異なるため、新規に開拓する必要がある。グループ会社のお客さまに別会社がリーチし、グループ全体でクロスセルを行うのも新規開拓だ。マーケティング活動や営業活動を顧客起点で展開していく」
--西武建設、国際航業と連携した取り組みは
「3社連携によって事業シナジーを拡大していけば、まちづくりなどのみらいドメインで価値創造ができる。三位一体で2026年度に300億円の受注を目指す。西武建設が代表者で2社も参画したJVが、埼玉県狭山市と道路施設等包括的民間管理委託を契約した。三位一体の良いモデルで、こうした案件も増やしていきたい」
--M&Aの実施方針は
「M&Aは成長のために必要な要素と思っている。今後も仲間づくりを引き続き進める。具体的な分野や企業は検討中だが、注力分野の中で実施していくことになる。フィジカル面で人間をサポートするロボティクス分野も選択肢の一つだ」
* *
(すがはら・ひでむね)1987年3月東北大大学院電気通信工学専攻修士課程修了後、同年4月NTT入社。2021年6月NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長兼副社長執行役員、24年6月ミライト・ワン代表取締役兼副社長執行役員兼キャリアイーストカンパニー社長COOを経て、25年6月から現職。福島県出身。62年7月2日生まれ、63歳。
◆記者の目
「自分は技術屋と思っているが、周りからそう見えないと言われて、落ち込んだことがある」と話すなど、気さくな人柄で、社員の信頼も厚い。「わくわくしている」との社長就任の抱負に、ミライト・ワンが定めるパーパス(存在意義)の「技術と挑戦で『ワクワクするみらい』を共創する」を体現した人と感じた。ゼネコンを傘下に収めるなど独自路線を貫く同社で、エンジニアの誇りを持ちながら、社長としてどのような未来を創造していくのかが楽しみだ。
ミライト・ワンの新社長にNTT出身の菅原英宗氏が6月25日付で就任した。通信建設事業を中核としながらゼネコンの西武建設や航空測量大手の国際航業を迎え入れるなど、積極的なM&A(企業の合併・買収)によって事業領域を拡大し、急成長を遂げた企業グループのかじ取りを担う。「事業環境が堅調な今、次の成長に向けた準備をしっかり進める」とさらなる飛躍を目指す菅原社長に、今後の経営方針を聞いた。--就任の抱負は
「この約10年間で企業規模が倍以上になった。M&Aで伸びてきたところが大きく、成長路線にある。成長をさらに加速させなければならない時期にある。こうした中での社長就任は、身の引き締まる思いで、責任の重さを感じている。同時に、次の成長を考えると楽しみで、わくわくしている。この会社にはベンチャー気質があり、伸びる余地がまだある」
「NTTでは、制度面に関する総務省との協議やビジネス開発、営業も経験したが、人工衛星を制御する技術の開発を手掛けるなど、もともとは技術屋だ。数十年先も競争で優位に立てるよう、次につながる技術にグループとしてしっかり取り組む」
--注力する分野は
「通信をベースとしつつ、それ以外の成長領域を『みらいドメイン』と称し、グループ会社と連携しながら伸ばしている。グリーンエネルギー、環境、データセンター、AI(人工知能)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、まちづくりが主な分野だ。ICTにも注力し、特にO&M(運転・保守)のリカーリングビジネスに力を入れる」
「みらいドメインを伸ばすためには、人材の確保・育成と適材適所の配置がポイントになる。採用活動を強化するとともに、みらいカレッジでリアルとデジタルの両面から育成を進めている。人材育成で大事なのは会社を好きになってもらうこと。働きやすい会社にするため、ワークライフスタイル改革も進め、ES(エンプロイーサティスファクション)を上げていく」
「みらいドメインは通信建設事業とお客さまが異なるため、新規に開拓する必要がある。グループ会社のお客さまに別会社がリーチし、グループ全体でクロスセルを行うのも新規開拓だ。マーケティング活動や営業活動を顧客起点で展開していく」
--西武建設、国際航業と連携した取り組みは
「3社連携によって事業シナジーを拡大していけば、まちづくりなどのみらいドメインで価値創造ができる。三位一体で2026年度に300億円の受注を目指す。西武建設が代表者で2社も参画したJVが、埼玉県狭山市と道路施設等包括的民間管理委託を契約した。三位一体の良いモデルで、こうした案件も増やしていきたい」
--M&Aの実施方針は
「M&Aは成長のために必要な要素と思っている。今後も仲間づくりを引き続き進める。具体的な分野や企業は検討中だが、注力分野の中で実施していくことになる。フィジカル面で人間をサポートするロボティクス分野も選択肢の一つだ」
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(すがはら・ひでむね)1987年3月東北大大学院電気通信工学専攻修士課程修了後、同年4月NTT入社。2021年6月NTTコミュニケーションズ代表取締役副社長兼副社長執行役員、24年6月ミライト・ワン代表取締役兼副社長執行役員兼キャリアイーストカンパニー社長COOを経て、25年6月から現職。福島県出身。62年7月2日生まれ、63歳。
◆記者の目
「自分は技術屋と思っているが、周りからそう見えないと言われて、落ち込んだことがある」と話すなど、気さくな人柄で、社員の信頼も厚い。「わくわくしている」との社長就任の抱負に、ミライト・ワンが定めるパーパス(存在意義)の「技術と挑戦で『ワクワクするみらい』を共創する」を体現した人と感じた。ゼネコンを傘下に収めるなど独自路線を貫く同社で、エンジニアの誇りを持ちながら、社長としてどのような未来を創造していくのかが楽しみだ。