【動画ニュース】観光地を彩る舗装技術/音響道路で空間の魅力高める | 建設通信新聞Digital

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【動画ニュース】観光地を彩る舗装技術/音響道路で空間の魅力高める

 

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 足元から観光地を支える道路舗装。道路が奏でるメロディーを楽しみながら走行できる音響道路や、足元をカラフルに彩り観光名所に溶け込むようなタイルなどを採用した景観舗装がその代表例といえる。観光を通じた地域振興に寄与するだけでなく、“プラスアルファ”の効果や価値を提供することで、街ひいては空間全体の魅力を最大化する立役者となる道路舗装技術に迫る。

音が出る仕組み


 音響道路は、道路表層面に横方向の溝を、音程によって決められた等間隔で設置することでメロディーを奏でる。車両のタイヤが通行した際に、路面から一定の周波数の音が発生する仕組みを利用している。1秒間に通過した溝の数で音程が決まり、その間隔を変化させることで音階を表現できる。溝の間隔が広いと低い音、狭いと高い音が出る。

 この音響道路に凍結抑制舗装を組み合わせ、付加価値を提供しているのは世紀東急工業の凍結抑制型音響道路「メロディザペック」だ。路面に設けたグルービング溝に凍結抑制材を充填(じゅうてん)することで冬季の路面凍結を抑制し、スリップ事故の防止などに役立てている。

 音響道路には観光客を楽しませるだけでなく、安全性を高める効果もある。メロディーは、指定された速度で走行することで音楽が心地よく聞こえる設計にでき、法定速度での走行を促す。同社によると、施工の前後に通行車両の走行速度を計測したところ、速度が約15-20%低減していることを確認したという。

 同技術は、国内3カ所で施工されている。山形市の山寺に続く市道では『花笠音頭』を奏でる。栃木県日光市街と中禅寺湖・奥日光を結ぶ観光道路である国道120号「日光いろは坂」では、日光東照宮の三猿、日光に生息するニホンザルなどにちなみ『モンキー・マジック』が聞ける。同市の湯西川温泉に続く県道249号では、同県出身のシンガーソングライター斉藤和義さんの『歩いて帰ろう』をが楽しめる。

音響道路の始まりを知らせる看板


 施工する土地にゆかりがあり、知名度の高い楽曲を選ぶことで、町おこしの効果が望める。加藤裕康技術本部技術部技術企画グループリーダーは「今後も、観光地などを中心に展開を図っていく。インバウンドも多い中で、世界的に有名なアーティストの曲を施工できれば」としており、観光地を足元から盛り上げる技術は日々進化し続ける。

 道路空間を広げ、歩行者や自転車、車いす利用者など誰もが歩きやすくなる空間形成のほか、電線がなく景観を生かし、災害時には電柱の倒壊による道路の寸断を防いでライフラインを確保する無電柱化など、観光振興に寄与できる道路舗装技術は多くある。「音響道路の曲を聞くために土地を訪れ、道路を走行する観光客もいる」と話すように、舗装が観光客の誘致に役立つだけでなく、それ自体が観光名所にもなり得る。

伊東温泉街では、道が散策のアクセントに(世紀東急工業の型枠式カラー舗装〈KC工法〉「アーバンカラータイル」)


【道路がキャンバス!? 景観舗装で美観向上】
 景観舗装は、美観や周囲との調和を意識した舗装で、顔料を添加したアスファルト舗装材を使ったカラー舗装、れんがや石畳のような表層を形づくる型枠式カラー舗装、自然石を路面に舗設する自然石舗装、インターロッキングブロック、土やウッドチップといった自然素材を活用した舗装など、さまざまな種類が見られる。舗装面にイラストを描くような技術を活用すれば、道路空間に親しみを持たせることもできる。

 高い下地との付着性、耐摩耗性、耐候性を持つものや、再生骨材の利用による環境配慮、施工コスト低減など、機能を充実させた景観舗装が展開されている。

 

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