【一人親方経て金融サービス起業】建設業向け特化ファクタリング/佐野俊亮ウィット代表 | 建設通信新聞Digital

8月29日 金曜日

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【一人親方経て金融サービス起業】建設業向け特化ファクタリング/佐野俊亮ウィット代表

佐野氏

 ファクタリングを手掛けるウィット(東京都品川区)は、佐野俊亮代表取締役が一人親方から転身して起業した。「他社では対応不可と判断する案件でも、建設業の経験により対応できる場合がある」との強みで、建設業向けに特化したファクタリングサービスを展開する。

 同社の設立は2016年。マンション型枠工や大工の経験を積んで独立した佐野氏が、「同業の仲間が資金繰りに悩むのを見て自分も備えようと情報を集めるうちに、ファクタリング事業への興味が高まった」ことがきっかけで、約1年半の準備を経て創業した。

 同社は当初コンサルティングとファクタリングを事業としていたが、建設業からのファクタリングの相談や契約が徐々に増加。19年には建設業界の中小企業に特化したファクタリングサービス「けんせつくん」を始めた。今年1-6月では問い合わせの約7割、契約件数の約8割を建設業が占める。

ファクタリングサービスの流れ

 佐野氏のほか、施工管理や官公庁の発注部局などの経験者が社員に在籍。「現場の事情や感覚を知る審査担当者だと、建設業からの相談に関しては、他社の人や人工知能(AI)による審査より対応の幅が広い」との強みにつながっている。そのほか、30万円から500万円までの小口取引への特化、受注書での資金調達対応などで他社と差別化する。

 ファクタリングサービス提供側から見た建設業界は、多重下請け構造による資金不足の発生しやすさや債権回収にかかる期間の長さから、比較的ニーズの多い業界だ。銀行の融資や補助金・助成金、従来の資金調達手段は申請の手間や入金の時間がかかる場合が多く、急を要する資金ニーズにファクタリングが応えている。将来について「顧客の経営が安定化すればファクタリングは不要になる。当社が主な事業をコンサルティングなどに変えなければならないほど、ファクタリングのニーズを減らすことを目指す」と語った。
 

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