フィーチャーインタビュー2025・カナモト 金本哲男社長 | 建設通信新聞Digital

9月28日 日曜日

インタビュー

フィーチャーインタビュー2025・カナモト 金本哲男社長

【真のゼネラルレンタルカンパニーへ/価格以上の価値提供】 2024年度は売上高が4.9%増、営業利益は21.8%増と好調で「コロナ禍では、利益面で苦戦をしてきたが、ようやく増収増益基調に転換できた」と喜びをかみしめる。目指す姿に掲げる『真のゼネラルレンタルカンパニー』に向け、「確固たる地盤を築く」と力を込める。 --昨年度の振り返りを
 「24年度は前中期経営計画の最終年度に当たる年だった。中計はコロナ禍で始まり、非常に厳しい5年間だった。売上高こそ維持したが、値上がりするコストを価格転嫁できず、厳しい状況が続いた。昨年度はこうした連鎖を断ち切り、流れを変えた年であり、今年度から始まった新たな中計につながる、ターニングポイントになった」
--価格転嫁の現状は
 「当社に限らず、建設機械レンタル業界は長らく、価格転嫁を控えてきた。他方、社会全体では、インフレ傾向が継続しており、値上げが当たり前の時代になった。コストに見合った適正な価格に戻さなければならない。“価格以上の価値”を提供できるよう、品質・対応力のさらなる向上に努めながら、理解が得られるよう努力を続けている」
--25年度の見通しは
 「適正価格への値戻しが進んできている。加えて資産効率、レンタル資産の回転率が上昇傾向にある。こうした原資を活用し、2月には社員の給与を平均8%引き上げる賃金改定も実施した」
--新中計に基づく取り組みは
 「資産の効率的な運用と、成長戦略の両立が柱となる。市場ニーズに合った品ぞろえを適切に行うため、これまで蓄積したノウハウ、ビッグデータやITを駆使した需要予測を進める。こうした投資計画については、3年前からタスクフォースを組んで取り組んでおり、その一環として営業拠点の統廃合も進める。M&A(企業の合併・買収)などにより重複したエリアの需要動向を踏まえ、拠点の取捨選択をしながらレンタル網を構築する」
 「成長戦略は、M&Aを適宜進めるほか、新製品・商材・技術開発に注力する。海外展開の強化なども視野に、資本効率の向上と成長戦略をバランスよく実施していく」
--長期戦略は
 「しっかり整備された機械をニーズに合わせて速やかに供給するという当たり前のことを着実に行うことが重要だ。特に整備力は差別化の鍵を握るだけに、整備スタッフの教育・待遇を厚くする。併せて、レンタル業務の周辺領域にも事業を拡大していく。『カナモトに頼めば万事が運ぶ』というビジネスをつくり、真のゼネラルレンタルカンパニーを目指す」

【横顔】
 (かなもと・てつお)「休日の家族の夕食は、私がつくる」と言い、スーパーへの買い出しも慣れたもの。カレーやチャーハンの腕前は「妻にも引けを取らない」と熱が入る。