近畿地方整備局が奈良市で進める『平城宮跡歴史公園第一次大極殿院建造物復原整備事業』で24日、東楼復元工事に使用していた素屋根を西楼建設予定地に移動させる作業が始まった。竹中工務店の施工で重さ約665トンの素屋根をジャッキアップし、「大極門(南門)」をまたいで西側へ約83m移動する。曳家(ひきや)工事としては重量、距離ともに同社史上最大級。24日は約41.5mの移動を終えた。残区間は29日に移動させる予定。
作業では高さ約30m、幅約50mの素屋根を油圧ジャッキを用いて垂直方向に持ち上げ、スライドベースを設置して柱と軌条桁の摩擦抵抗を軽減した上で、水平油圧ジャッキを使って1時間当たり約10mのペースで押し出していく。
竹中工務店の小西和仁現場代理人は「隣接する大極門をまたぐ際に建物を傷つけないよう落下物の防止に細心の注意を払った。また、素屋根の移動に応じてレールを転用しながら作業を進めることになるので、その点の工程管理にも気を配った」と施工のポイントについて語った。
竹中工務店は同事業のうち、東楼の整備を担当している。規模は、木造2階建て延べ525㎡。スライド作業完了後、内装・外装仕上げ作業や基礎コンクリート解体、外構工事などに取り組む。着工したのは2022年4月で、25年度内に工事を終える見込み。復元原案作成は奈良文化財研究所、復元設計と工事監理は文化財建物保存技術協会が担当した。建設地は奈良市佐紀町。
事業では大極門と東西楼、回廊、内庭広場を復元する計画。南門は22年3月に竣工しており、東楼の完成後は西楼の復元に着手する予定だ。スケジュールは未定。
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