フィーチャーインタビュー2025・コベルコ建機 山本 明社長 | 建設通信新聞Digital

10月11日 土曜日

インタビュー

フィーチャーインタビュー2025・コベルコ建機 山本 明社長

【制御電子化、遠隔操作で差別化/自社ならではの開発推進】

 働き方改革の一層の推進が求められている中、「働きやすい建設現場を目指し、全社員のベクトルを合わせながら進んでいる」と話す。建機オペレーターの高齢化に対しては、デジタル技術で現場を支える。自社開発した重機の遠隔操作システム『K-DIVE』を使って「オペレーターの操作の癖をデータ分析し、改善をフィードバックする。コベルコ建機ならではの開発を進めていく」と力を込める。  --2024年度の振り返りを
 「素材の価格や労務費が上昇し、建設機械をつくるコストが上がっている。国内景気も思っていたほど回復せず、買い控えが出てきている。昨年4月に始まった残業時間の罰則付き上限規制から工事が長期化し、建設需要の指標となるセメント国内需要も停滞している」
 「海外に目を向けると欧州は景気が停滞し、米国も景気の伸びは予想を下回った。建設機械需要は、世界的にも想定より落ち込んだ」
  --25年度の展望は
 「国内市場は、大きくは変わらないだろう。人手不足の状況は依然として続くからだ。溶接や型枠分野など、特殊技能の習得には時間がかかることもネックになると考える」
  --海外市場の動向は
 「欧州は少々良くなるだろう。ただ、劇的な好況要素は現状、見当たらない。トランプ政権の関税政策は不透明感があり、影響は読みにくい」
  --エンジン認証問題の影響は
 「ほぼ一段落したものの影響は大きかった。他社から提供を受けていたエンジン認証に問題があり、一部建機の販売停止が続いていたが、今年から販売を再開できる建機が増えてきた。小型は既に再開していたが、稼ぎ頭の少しサイズが大きなショベル、解体用重機などを再開した。受注は好調だ。非鉱山建機で大型の建設機械は、われわれが得意分野で戦っていく武器でもある」
  --建機のアフターサービスの切り口は
 「情報をデジタルでつなぎ、予防・予知保全を強化する。アフターサービスで大切な点は、メンテナンス・スタッフが、お客さまの建設機械の状況を把握し、適切なタイミングで現場に向かうことだ。スタッフが現地に行くチャンス、タッチ率を増やしていく」
  --脱炭素化に向けては
 「カーボンニュートラルはチャンスだと思っている。ディーゼル燃料を電気や水素に変えるだけでは、差別化はできない。機体制御の電子化や、遠隔操作システムのK-DIVEなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した取り組みを強化していく。

【横顔】
 (やまもと・あきら)今年の目標は体重を“ちょっと”減らすこと。進捗(しんちょく)管理は「ベルトで分かるやん?ちょっとキツなったとかな」と場を和ます。