フィーチャーインタビュー2025・コマツ 今吉●(琢に斜め点)也社長 | 建設通信新聞Digital

9月30日 火曜日

インタビュー

フィーチャーインタビュー2025・コマツ 今吉●(琢に斜め点)也社長

【アシスト型が担い手不足に貢献/ハードとソリューション両輪で】

 担い手不足が深刻化する中、デジタル技術を駆使したICT施工は、現場の生産性向上の切り札と目されている。機体の動きを自動アシストする「マシンコントロール型の建機が主流になりつつある」とし、「熟練者でない人でも簡単に工事ができる建機・ソリューションで担い手不足に貢献していきたい」と力を込める。  --社長就任から約半年になるが、改めて抱負を
 「企業の価値は、全てのステークホルダーの信頼の総和であり、株式価値だけで測れるものではない。売り上げも利益も、信頼から生まれるものだ。この考えがなければ、イノベーションは起こらない。この基本を念頭に、4月に公表した3カ年の中期経営計画の推進に尽力する」
  --2024年度の振り返りを
 「昨年度は、需要は堅調だったが、ややピークを過ぎていた感じで、グローバルに見ると、フラットから若干のマイナスだった。ただ、為替や値上げ効果もあり、過去最高益と非常に良い結果となった」
  --25年度の見通しは
 「今年度は、想定為替レートを(直近レートよりも円高となる)135円でみていることやトランプ関税の影響などを織り込み、1割弱の減収、約3割の減益とみている」
 「米トランプ関税の影響は、名目GDP(国内総生産)成長率でマイナス1.1%、建機需要では2.7%程度のマイナス影響を受けると想定している。これらを含め、通年の建機需要はゼロからマイナス5%と試算した。第1四半期を終えたところではほぼ想定線で来ている」
  --カーボンニュートラル(CN)に向けては
 「30年に10年度比で5割削減の目標を掲げて、着々と進めている。ただ、50年のCN実現は、個社の取り組みに加え、技術や社会的な規制、顧客の動きも関わってくる。ハイブリッドや代替燃料、将来的には燃料電池などの水素技術も入ってくるが、どれくらいのスピードで何が主流になってくるかは、まだ見えない状況だ。世の中の動向を見ながら優先順位を組み替えて進めていく」
  --国内事業は
 「建機の稼働時間は、顧客の仕事量に比例する。大型の公共投資が見込めない中、建機需要自体は大きな伸びは見通しづらい。この環境で事業を成長させるため、ハードとソリューションの両輪を進化させる。スマートコンストラクションなどのデジタル化と、これに適合するICT建機のレベルや品ぞろえを増やす」

【横顔】
 (いまよし・たくや)取材音声を文字に起こして驚いた。ほとんどそのまま原稿になる。世界を相手にする経営者のワードセンスに脱帽した。