鳥獣害対策製品の開発・販売を手掛けるティ.エム.ワークス(山梨県富士河口湖町、轟秀明社長)は、2026年春に携行型クマ避け機器の発売を目指す。設置型での実績を基に、「山間部で測量、施工などに従事する作業者の手をふさがずにクマなどを遠ざけられるよう、リュックに取り付け可能にしたり、一定の連続稼働時間を確保するなどの方向性で開発を進めている」と力を込める。
富士山周辺で発生するシカと自動車の衝突事故対策の要望を契機に、同社は特殊な音波照射による鳥獣害対策製品群の開発を始めた。現在、鉄道会社向けの列車と動物との接触防止、空港向けのバードストライク防止、大規模農場向けのシカ食害防止、ノリ養殖場向けのカモ食害防止、メガソーラー向けのカラスの糞害や石落とし防止などの用途で実績がある。「クマ、イノシシ、サルなどが業務の支障になっているので遠ざけたい」と建設企業からの問い合わせも増えている。
近年、野生動物の個体数増加により、強い個体から遠ざかろうとする弱い個体が山間部から市街地近くまで移動する傾向が強まった。「生息域が異なると行動パターンもまったく異なる。例えば山奥にいるクマは熊鈴が聞こえると警戒し遠ざかるが、市街地近くで過ごしたクマは物音に慣れているせいか警戒しない。今後すぐに個体数が減少するとは考えにくく、現在の傾向はしばらく続く」と説明する。こうした行動パターンの急激な変化が、対策の難しさの一因となっている。
このほか、人間が施した対策に起因する行動パターンの変化もあり、同社はその変化に合わせた対策更新を支援する仕事も手掛ける。「複数の対策の組み合わせが必要だ。当社製品も電気柵やクマスプレーなどと他の対策との併用を前提とする」と補足する。
大学やNPOと協力し、北海道旭川市で人工知能(AI)を活用したクマ対策の実証実験も進めている。「従来のセンサーは、市街地だと車両などを誤検知してしまう。AIにより誤検知を減らし、これを音波照射などの対策と連動させることで、より効果的な対策につなげる」と狙いを明かす。











