【開拓者精神発揮し技術力磨く】
砂防フロンティア整備推進機構は、砂防指定地などやその周辺の保全整備、砂防事業などに関連する地域活性化のための調査研究を鋭意進め、行政を支援している。急峻な地形が多く、脆弱な地質、多数の断層や破砕帯を有していることから、わが国は土砂災害が発生しやすく、安全安心の確保に向けて、同機構の果たす役割は大きい。今井一之理事長に、取り組みの現状と今後の展開などを聞いた。
近年、気候変動や大規模地震によって自然災害が頻発化・激甚化し、土砂災害の発生件数が増え、発生形態も土砂・洪水氾濫など多様化・複雑化している。「機構の役割は行政支援が中心で、要請の内容は時代によって変化しており、一歩二歩先をいく提案で貢献したい」と意気込む。
2026年度の取り組みでは、危機管理対応や砂防施設の長寿命化計画策定に関する支援を行う。加えて、国土強靱化実施中期計画の中でインフラメンテナンスが挙げられていることから「これまで以上に維持管理が重要になる。国土交通省の各直轄事務所に新たな技術をもって提案していきたい。施設点検や業務の簡素化につなげるためにも、各種マニュアル改訂を支援する」と先を見据える。
山中の砂防施設の維持管理では、UAV(無人航空機)の活用が進む。「砂防DX(デジタルトランスフォーメーション)の一つとして、今後もUAVは欠かせない。活用に対応し、アドバイスもできるように取り組む」方針だ。
温暖化防止に貢献するため、砂防指定地内の砂防樹林帯でのカーボン・クレジット化に向けた取り組みも進める。
行政には、砂防に関する災害、維持管理などに関するさまざまシステムがそれぞれ導入されているため「災害発生時などには、担当者のスピーディーな対応と労力削減が可能な効率化が求められる。各システムをまとめて見られるよう、国交省砂防部や、関連企業を交えたワーキングを立ち上げた」と明かす。
国内での成果が伝わり、海外から業務支援要請が寄せられるようになった。「大規模災害や危機管理に対する支援には、国内で培った技術を生かして、アドバイスなどを行っている」という。
職員が多様な業務を手掛け、砂防に関するシンクタンク的な組織として能力を発揮するためにも「AI(人工知能)を活用した業務の効率化などに取り組み始めている。より良い職場環境を構築することで業務に反映し、顧客満足度を上げていきたい」と語る。次代の人材確保のため、情報発信とともに、インターン制度も開始して採用につなげている。職員の技術力向上にも注力し、研修の推進と合わせて外部の発表会への積極的な参加を促している。資格取得も支援し、職員の能力向上とやりがいにつなげることにも力を入れる。
課題解決に向けて「フロンティア(開拓者)精神を発揮し、先行投資を惜しまずに技術力を磨いていく。土砂災害防止のためのさまざまな行政支援を通じて、その先にある住民の安全安心の確保、生命財産を守ることに貢献する」と力を込める。
