【ものづくりを唯一無二へ】
三菱地所レジデンスの社長に、明嵐二朗氏が4月1日付で就いた。一定の需要層は見込めるものの、首都圏を中心に用地取得は困難を極め、建設費の高騰も先行きが見えず、中核である分譲マンション事業は決して好環境とはいえない状況下での就任となったが、「分譲マンションだけでなくさまざまな住まいを手掛ける中で、事業の根幹となる“ものづくり”を見つめ直し、本当に良い住まいを提供する」と意気込む。新たな経営計画も4月から始まり、「私たちしかできないユニークな商品を展開し、なくてはならない会社でありたい」と力を込める明嵐社長に経営戦略などを聞いた。
--注力分野は
「分譲マンションのほか、賃貸や学生向けのマンション、老健施設、コンドミニアム、リノベーション事業といったさまざまな住まいを手掛ける中で、ものづくりにこだわり、本当に良い住まいをつくることを経営計画の柱とする」
「分譲マンションの供給戸数は、ここ3年ほどは1500-2000戸で、今後5年間も同程度で推移させる。一方、人口減少を見据え、分譲マンション以外の事業にも注力する。そのための種まきをするのが私の使命だと考える。現状は利益ベースで6、7割が分譲マンション事業だが、分譲マンション以外の事業比率を高め、将来的には半々を目指したい」
--分譲マンション以外の事業とは
「老健施設のシェアは高く、人口動態からも成長分野に位置付ける。学生マンションについては、学生の数が減少する一方、留学生の増加を見据えるなど、新たな切り口でニーズを見つけることが競争優位性の源泉になる」
--新たな戦略は
「古いビルを再生する『Reビル事業』の立ち上げに携わっていた。不動産デベロッパーとして、既存ストックをどのように優良ストックに生まれ変わらせるかは、今後取り組むべき領域だと考える」
「マンションブランド『ザ・パークハウス』の競争優位性の根源、顧客への提供価値を見直すため、4月に『ザ・パークハウスブランドデザイン室』を新設した。用地、開発、販売など分野横断型のチームで、さまざまな観点から根源的な価値を見つめ直し、注力する分野を模索している」
--建築費高騰への施策は
「人手不足や人件費・資材価格の上昇により高騰する建築費に対し、用地の取得といった初期段階から施工者と共同事業体のように動くことが大事だと考えているが、施工費の低減には必ずしもつながらない。ユニットバスや木製建具といった設備機器のメーカーを材工一体で指定する方法に取り組み、コストオン契約も活用している。難しさもあるが、指定対象の設備機器を一つでも増やしたい」
--用地の確保は
「中小規模の土地でも複数の地権者がまとまれば一定の大きさになる。あるエリアを起点とした再開発のように、ビジネスチャンスを広げる手法で取得目標を達成してきた」
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(めあらし・じろう)1992年3月早大商学部卒後、同年4月三菱地所入社。2013年4月メックecoライフ取締役、15年4月同社常務、21年4月三菱地所総務部長、24年4月三菱地所レジデンス取締役兼専務執行役員兼三菱地所グループ執行役員などを経て、4月から現職。石川県出身。69年5月22日生まれ、57歳。
【記者の目】
亡き父から教えられた「感謝・謙虚・毎日努力する」を心にとどめる。「周りの人に支えられてここにいることへの感謝を忘れない。頭を垂れる人ほど信頼され、愛される。小さな努力を続けることが、大きなものにつながる」ことを実行する。質問に一つひとつ丁寧に理路整然と答える一方、「本当に価値のある住まいは何か」を追求する言葉には熱がこもり、ものづくりへのこだわりや住まいづくりのプロとしての誇りがにじむ。
