海外建設協会(佐々木正人会長)は、会員52社を対象に集計した2025年度の海外建設受注実績を公表した。受注総額は前年度比13.4%増の2兆9349億円となり、3年連続で過去最高を更新した。受注件数は1814件だった。工事の大型化の傾向が続き、1000億円超の案件がシンガポールで3件、米国で1件となった。海外受注はコロナ禍で20年度に急減したが、その後は5年連続で前年度実績を上回っている。
地域別に見ると、最大市場のアジアは、19.7%増の1兆7146億円となった。25年度と比べ伸び幅は少ないが、25年度に続き過去最高記録を更新した。シンガポールで3件あった1000億円超の案件は、土木、病院新築、公共施設が各1件だった。
アジアに次ぐ市場規模の北米は、2.0%減の8982億円にとどまったものの、「引き続き高い水準で推移している」(協会事務局)とみている。1000億円超のコンベンション施設の受注が減少幅を抑えた。
このほか、中東・北アフリカは75.8%減の46億円、アフリカは42.6%減の129億円、中南米は84.6%減の61億円、欧州は657.5%増の351億円、東欧は1.1%減の951億円、大洋州は195.2%増の1680億円となっている。大洋州(オーストラリア)は、さまざまな企業が受注を重ね、伸び率が大きくなった。欧州は、案件の大型化により大幅に伸ばした。
現地法人による受注額は、19.8%増の2兆2710億円で過去最高額となり、全体の77.4%を占めた。本邦法人は4.0%減の6638億円となった。
資本金・発注者別に見ると、「公共(自己資本)」が1兆3235億円で最も多く、次いで「民間・現地企業」が1兆0733億円、「民間・日系企業」が3701億円、「円借款案件」が1209億円、「無償案件」が472億円だった。
国別トップ10によると、上位2カ国は前年と同じで、米国が8762億円、シンガポールが7348億円となった。3位は2241億円のタイ、前年度まで3位だった台湾は4位で、1773億円だった。5位のフィリピンは1456億円で、5位までが1000億円超えとなっている。
佐々木会長は、5日の定時総会後に開いた記者会見で、「紛争による建設資機材、燃料の入手困難や価格高騰など、海外建設事業を取り巻く環境は厳しい状況になりつつある。協会では活動を通じて得た情報や知見、国内外の関係機関とのネットワークを生かして、会員各社への必要な支援を行っていく」と強調した。最近の海外事業の傾向にも言及し、「プロジェクトの大型化・高度化が進んでおり、土木・建築ともに要求レベルが上がっている。そうした中で、日本の企業が評価を得ている」と指摘した。
