【将来見据えた人づくり】
前田道路の新社長に、富安敏明氏が4月1日付で就任した。2025年には創業100周年を迎え、「これまでの信頼を生かしながら成長する段階に入った。これまでにない場所や事業に挑戦する」構えだ。「挑戦するには人が必要」との考えから「中長期的な視点を持ち、短期的には成果を出す」とし、“10年先を見据えた人づくり”を経営の最重要課題に掲げる。「社員や協力会社、その家族を本当に大切にする企業が前田道路だ」と強い自負を持ち、誰もが働きやすくやりがいの持てる企業として次々と施策を実現しようとする富安社長に、経営方針を聞いた。
--経営の目標は
「中期経営計画は2年目になる。今期は成長段階と位置付け、営業利益目標は前田道路グループで前期比17%増の239億円を掲げた。工事事業での受注時規律の徹底、製品事業で合材の適正価格での販売を継続する。事業領域の拡大も必要だ」
--市場環境をどう見る
「アスファルト価格が急激に上昇しており、価格転嫁などで対応する。現在は、中東情勢の緊迫化により製品を値上げしているが、情勢が安定化に向かい、ストレートアスファルトの価格が有事前の水準に落ち着いた際には、元の販売価格に引き下げる」
「合材の需要が人口減少とともに減少する中で、当社の強みである地域に根差したネットワークを突き詰める。全国約200拠点の工場、営業所は連携が強く、工事・製品の2本柱で利益を創出する。研究開発やM&A(企業の合併・買収)も視野に入れ、シェアを増やして成長につなげる」
--注力する分野は
「さまざまな人材が働きやすい環境を追求する。例えば、PET(陽電子放出断層撮影)検査の費用を負担するなど福利厚生を充実させる。協力会社には酷暑手当を支給する。社員が成長し、やりがいを持てるよう、教育プランも一層充実させている」
--インフロニア・ホールディングス(HD)とのシナジーについて
「インフロニアHD全体で、“脱請負”の動きをしているが、道路分野でも実行できる。そのためにインフロニアHDが持つ市区町村の考え方といったトップダウンの情報、当社の全国各地の拠点で地域に根差したボトムアップの情報を融合していく」
--課題への対応は
「製品事業は一定のオペレーションの下、安定した利益を確保するため、AI(人工知能)といったデジタル技術の活用を促進する。工事事業は、官庁工事、元請け工事の比率を高める。積算精度を上げるべく、前期に積算部を設けた。元請け工事の比率を上げるため、中途採用などにより法人営業を強化している」
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(とみやす・としあき)1993年4月前田建設入社。2020年7月前田道路に入社して執行役員社長室長、21年4月常務執行役員管理本部長兼社長室長、同年6月取締役兼常務執行役員管理本部長兼社長室長、24年6月代表取締役兼専務執行役員管理本部長兼社長室長兼経営企画担当兼情報システム担当、25年4月代表取締役兼専務執行役員管理本部長兼経営企画担当兼情報システム担当などを経て、26年4月から現職。凡事徹底を心にとどめる。好きな言葉は、誰かが見ているかどうかにかかわらず正しい行いをするという「慎独(しんどく)」。山口県出身。68年2月8日生まれ、58歳。
【記者の目】
同社の強みを尋ねると、「社員の誠実さと真面目さ」と語る。週休2日を完遂したことに触れ、「物事を徹底できる底力もある」と胸を張る。「建設業界がいつまでも発展してほしい。そのため、学生や若手にものづくりの楽しさを知ってもらいたい」との思いは人一倍大きく、社員やその家族と誠実に向き合う姿は、業界全体の働き方を見直す気付きにもなる。道路舗装の魅力は「日常的には当たり前だが、足元から人を支えている役割をしっかりと果たしていること」だと矜持(きょうじ)を示す。
