【記者座談会】建築士資格制度改善提案、求められる資質の確保/緊急時に"頼るべき存在"へ!学術・行政の連携体が発足 | 建設通信新聞Digital

5月1日 水曜日

公式ブログ

【記者座談会】建築士資格制度改善提案、求められる資質の確保/緊急時に“頼るべき存在”へ!学術・行政の連携体が発足

A 建築設計3会が自民党建築設計議員連盟に「建築士資格制度の改善に関する共同提案」を提出した。どんな内容かな。
B 大きく変わるのは、受験時に必須だった実務経験が登録前までになることだ。実務経験はなくても受験が可能になる。実務経験と認められる範囲が広がり、学生だけでなく建築教育や建築行政に携わる人たちも受験しやすくなる。

自民党建築設計議員連盟は5日に開いた総会で、設計3会による建築士資格制度の改善に関する共同提案を受け、建築士法の改正に乗り出すことを明らかにした


C 提案の背景には受験者数の減少による将来の担い手確保への危機感が強いようだ。資格取得にかかる時間や費用、難易度から受験を諦める人も多かった。
B 共同提案では学科試験合格後2回までだった製図試験の受験可能な回数の廃止を要望している。製図試験も手描きからCADへと長年指摘されてきた課題の解決にもつながりそうだ。
D 受験資格が緩和されても、建築士のレベルが落ちては意味がない。姉歯事件以降も大きな社会問題が続いてきただけに、質を担保する仕組みが求められるけど。
A 反応はどうだろう。
B 設計議連側は、共同提案を前向きに捉え議員立法で改正を目指していく。建築教育界への影響も予測されるが、教育・実務の実態を踏まえた学科試験のあり方を要望しており、改善の内容を注視していくことになりそうだ。
C いずれにしても建築士に求められるのは技術と同時に高い倫理観だ。資格取得後も常に研さんを重ねることで、資質を確保していく仕組みが求められる。
D 建築設計界では設計業務報酬基準を定める告示15号の改正も進んでいる。今回の建築士資格制度の改善も含めて、政治と行政と民間が三位一体となって、時代や実態に即したより良い方向に進めてほしい。

広範な分野から56学会が参画する「防災に関する日本学術会議・学協会・府省庁の連絡会」

A ところで防災に関する学術と行政の連絡の場を設けようという会議が開催された。
E 日本学術会議の防災減災学術連携委員会が主催した第1回「防災に関する日本学術会議・学協会・府省庁の連絡会」だ。学術会議の会員と56学会の研究者でつくる防災学術連携体、内閣府防災担当を始め11の府省庁の防災担当者が一堂に会した初めての機会となった。
F 南海トラフや首都直下の大地震に対する備えも大事だが、昨年7月の九州北部豪雨や今冬の豪雪、また火山噴火など自然災害は多様で、かつ激しさを増している。こうした災害による被害を減じていくためには、科学的な見地からの研究成果を正しく国民や地域、行政に伝えることで自助・共助・公助に生かされなければいけない。そのためにも常日ごろからの連携は重要だ。
E 会議で印象的だったのは各省庁の担当者が具体的な部署名と業務内容を説明した上で、その連絡・相談などの窓口が自分であることを明言していたことだ。「顔」の見える会議だと感じた。
F 学術連携体の56学会には土木学会や日本建築学会など理学工学の分野だけでなく、医学や看護系、石油系や社会学など広範な分野から参画しているのも社会との距離感をより身近なものにしようということだろう。
E 学術連携体の副代表幹事となった日本災害医学会の小井土雄一代表理事が映画の『シン・ゴジラ』を引き合いに、「ゴジラを倒すために呼ばれたのは不適任な学者ばかりで効果的なことができなかった。今後同じようなことが起こったら、ぜひわれわれ連携体に連絡してほしい。ベストウェーなソリューションをオールハザードで提供できる」と話していた。緊急時に頼るべきところはどこか。それを共有することが案外ツボかもしれないね。

建設通信新聞の見本紙をご希望の方はこちら