【記者座談会】改正建築士法施行/国交省の新型コロナウイルス感染症拡大防止 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】改正建築士法施行/国交省の新型コロナウイルス感染症拡大防止

A 改正建築士法が1日に施行されたけど、建築界の受け止めは。
B 今回の目玉となる建築士試験の受験要件見直しに対しては肯定派と否定派に意見が分かれる。実務経験が免許登録要件となり、「実務ゼロ」での受験が可能となることに「就職しても仕事が忙しく、なかなか勉強する暇がないため、早めに受験できるのは悪いことではない」といった声が上がる一方、資格優先による弊害への懸念も根強い。
C 改正の背景にあるのは、建築士人材の継続的・安定的な確保だ。1級建築士をみると、所属建築士の約4割が60歳以上という状況にあり、これら建築士の大量リタイアを見越した場合、受験の早期化により若手建築士を確保する必要がある。受験者数の減少や平均年齢上昇も大きな課題になっていた。受験要件の見直しにより、例えば1級建築士の場合、建築に関する科目を履修して大学を卒業すれば、卒業直後に実務経験がなくても試験を受験することが可能になる。
A 教育現場の反応は。
D 法改正に当たっては、日本建築士会連合会と日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会の建築設計3会が2018年6月に資格試験の受験要件緩和などを盛り込んで自民党の建築設計議員連盟に提出した「建築士資格制度の改善に関する共同提案」の内容を反映する形で法案が提出された経緯がある。大学関係者からは改正の過程で「われわれの意見をもっと聞いてほしかった」という不満の声も上がっている。
B 建築学会と全国建築系大学教育連絡協議会(全建教)が、全国の大学を対象に実施した改正建築士法に関するアンケート結果(途中集計)を見ると、改正内容については悪影響があるとの回答が多い。「資格取得を第一主義とする者が増加し、資格予備校化しかねない」「教育内容が1級建築士の試験対策に偏る可能性がある」などの意見が出ている。
D 建築士人材の確保を目的とした「数の論理」ありきの改正と捉えている関係者は多い。量より質に焦点を当てた建築士制度のあり方が今後の課題になりそうだ。

いまだ収束の気配が見えない中、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向け地方自治体発注工事でも動きが出始めている

直轄工事・業務の工期などにも影響

A 話は変わるけど、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた影響が工事現場などにも及び始めているね。
E 国土交通省は感染拡大防止のため、直轄工事・業務の工期などに関して受注者の意向確認を行う措置に踏み切った。意向を確認し、受注者から申し出がある場合には、受注者の責めに帰すことができない事由として一時中止や工期、履行期間を延長する。工事や業務の一時中止の期間は3月15日までの約2週間とし、措置に伴う経費は発注者が適切に計上するとしている。
F 既に一部の地方整備局では工事・業務の一時中止や履行期間延長の申し出を受けている。特にコンサルタント業務は3月に納期が集中するだけに、大手建設コンサルタント会社は国交省の措置を受け、2-15日まで実施中の業務の一時中止や履行期間延長を申し出ている。
E 直轄工事での感染拡大防止対策として国交省は、検査、打ち合わせの積極的なテレビ会議での実施や、コロナウイルスに起因する監理技術者の途中交代の許可、監督時の現場臨場は遠隔臨場の積極的な試行などを打ち出している。また、2日には本省と地方整備局に相談窓口を設置した。
A 感染者数が増大し、いまだ収束の気配が見えない中、工事での対応などをめぐっては地方自治体でも国交省に追従した動きが出始めている。民間を含めた発注者の動向を注視したい。
 
 
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