【記者座談会】増える"体験型"新入社員研修/業種の垣根越えた新しい取り組み広がる | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【記者座談会】増える“体験型”新入社員研修/業種の垣根越えた新しい取り組み広がる

A 各社の2018年度新入社員が入社から4カ月が過ぎ、研修についての記事も増えてきた。
B 基礎研修から体験や実地研修に入り始めた時期だ。先日、三井住友建設が愛媛県新居浜市のPC工場で実技合宿を実施していた。2主版桁橋の製作を新入社員だけで計画から施工まで手掛け、「失敗」から学ぶというスタイルだ。

三井住友建設の実技合宿では2主版桁橋の製作を新入社員だけで計画から施工まで手掛ける


C ピーエス三菱も、昨年から現場見学や高所作業体験を取り入れ始めた。入社3カ月で現場に送り込まれたかつての教育方法では、失敗しても大丈夫な仕事しか任せられない。だから、いま各社はこぞって体験型の研修を取り入れている。
B 清水建設が17年から使用を開始した「ものづくり研修センター」もモックアップを使った体験が特徴だ。安藤ハザマが16年にオープンした「TTC(テクノロジー・トレーニング・センター)」も宿泊所付きの研修施設で、みっちりと基礎実習を受けられる。各現場への配属だと、教育担当の先輩によって教える内容にばらつきの出ることもあるが、体験研修であれば、みんなが同じレベルの基礎研修を受けられるという点も大きな利点だ。各社とも研修施設には力を入れており、鉄建建設が研修施設棟を拡充したほか、淺沼組も技術研究所の改修に合わせて実地型技術研修機能を整備する。
D 技能職社員を抱える設備会社も研修施設整備に積極的だ。関電工は、長らく人材育成センターで研修を続けているほか、日本リーテックが電気設備工事の実習設備を備えた総合研修センターを建設した。三機工業も、総合研修・研究施設「三機テクノセンター」を整備中だ。

ICT技術の普及で通信関係技術との協業が盛んに

A ところで、企業によるオープン・イノベーションという言葉が使われ始めてから数年経ったけど、何か変化はあるのか。
B ダイキン工業がオカムラやソフトバンク、東京海上日動火災保険、三井物産、ライオンと共同で「未来のオフィス空間」づくりの取り組みを発表した。業界の垣根を越えた協業で新しい取り組みがどんどん広がっている。
D ソフトバンクといえば、ソフトバンクロボティクスとともに四足歩行型ロボットの現場で実証実験を発表した。フジタと竹中工務店が、それぞれ別々に実験している珍しいケースだ。パシフィックコンサルタンツも、ソフトバンクと次世代交通調査サービスを提供する。通信キャリア系では、NTTドコモも丹青社との協業を打ち出した。ICT技術の普及とともに、通信関係の技術の高度化を求める企業は多いね。
B ウェブ会議システムなどを展開するブイキューブが、眼鏡型ウェアラブル端末の建設業向け販売を狙うなど、これまで取材で全く縁のなかった企業が、生産性向上のためのICT活用が広がる建設業に目を向けているのも確かだ。
C 大手ゼネコンでは、大林組がオープン・イノベーションに向けて設置したプロジェクトチームと、米国シリコンバレーに開設したサテライトオフィスの成果第1号を発表した。有望なベンチャー企業への出資という形ではなく、社長直轄の組織が、直接、イノベーション技術の開発を進めるという点が大きな特徴だ。成果第1号もサテライトオフィスと関係の深いSRIインターナショナルとの共同開発だった。
B 大手だけでなく、地方・中小企業も異業種連携には強い関心を示している。「どの会社と連携すれば良いのか分からない」という声も聞くけれど、新しいことに挑戦する姿勢が大切だと思う。

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