【大林組】免震基礎コンクリの空隙判定にAI!! 再現率95%自動計測システムを開発 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【大林組】免震基礎コンクリの空隙判定にAI!! 再現率95%自動計測システムを開発

 大林組は、免震装置を取り付ける基礎コンクリートの試験施工で実施するコンクリートの空隙判定で、写真画像からAI(人工知能)が充てん率を自動計測するシステムを開発した。空隙の見落としの少なさを示す再現率は約95%で、試験体1体当たり80枚の写真を検査する場合、1人で約5日から1週間以上かかっていた作業が約2-3日に短縮できる。

自動検出した所定寸法以上の空隙

 建物に積層ゴムなどの免震装置を取り付ける場合、免震装置を載せるベースプレートと基礎コンクリートを一体化させるため、組み立てられた免震基礎上部の鉄筋にベースプレートを設置し、コンクリートを打設する。ただ、ベースプレートの下のコンクリートの充てん状況が確認できないため、実際の工事に先立って実物大のコンクリート打設後にベースプレートを取り外してコンクリートの空隙状況を計測する。空隙にペンやマーカーで着色して写真撮影し、台形補正や検査範囲の切り出しといった画像処理をした上で、画像編集ソフト上で所定の寸法以上の空隙を抽出し、空隙の合計面積を算出する。ベースプレートの接触面全体を検査する場合、試験体1体につき写真が25-100枚程度に上り、基礎の形状ごとに実物大試験をする場合はさらに処理枚数が増える。
 開発したシステムでは、ディープラーニング(深層学習)でさまざまな空隙の特徴を学習し、指定した寸法以上の空隙を自動で検出して着色する。自動検出の範囲から除外したい場合は、事前にその部分を指定すればより高い精度での検出が可能になる。従来の判定結果とシステムでの判定を比較すると、空隙判定個所の間違いの少なさを示す精度が約84%、再現率が約95%となった。さらに、写真の台形補正や切り出しなどの画像処理と検出した空隙の合計面積算出も画像解析技術で自動化し、空隙の最長径や面積なども数値で表示できる。
 現在、さまざまな現場で合否判定作業時の写真サンプルを採取し、空隙検出精度の向上を進めている。免震基礎部での検査以外にも同種の目視検査に応用が可能で、AIの適用範囲をさらに拡大し、技術者の能力差によるバラツキや人的要因による見落としなどの改善につなげる。

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