【NEDO】国内初の次世代浮体式洋上風力システム 北九州・響灘沖で実証運転開始 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【NEDO】国内初の次世代浮体式洋上風力システム 北九州・響灘沖で実証運転開始

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は21日、北九州市響灘沖に設置した国内初の次世代浮体式洋上風力発電システムの実証運転を開始した。定格出力は3メガワット。2021年度まで実証運転を行い、水深50mから100mで適用可能な低コストの浮体式洋上風力発電システム技術の確立を目指す。
 同システムは、響灘沖約15㎞、水深約50mの海面にスタッドレスチェーンと超高把駐力アンカーの組み合わせによる計9本の係留システムで係留。実証機は、国内初となる台船(バージ)型浮体を採用し、ローター直径100mの2枚翼の風車を搭載。浮体構造物は、長さと幅が51m、高さ10mで、喫水が7.5mとなっている。
 NEDOの実証研究には日立造船、丸紅、東京大学、九電みらいエナジー、エコ・パワー、グローカルで構成するコンソーシアムが参加している。14年度から実現可能性調査を始め、実証機の設計、製作を経て18年8月に北九州市で組み立てて試運転を開始し、実証運転に向けた調整を続けていた。
 今後は、実証運転で得られる発電量、波圧、係留力などの各種計測値と設計値を比較して設計の妥当性を評価する。また、遠隔操作型の無人潜水機を使った浮体、係留システムの効率的な維持管理技術などを取り入れたメンテナンスを行う。これまでの事業費は約124億円。発電コストは、23年に1kW時当たり23円を目標に設定している。
 同日、北九州市内で開かれた運転開始式では、NEDOの及川洋副理事長と日立造船の谷所敬会長兼社長が風車起動スイッチを押し、送電を開始した。及川副理事長は、「今後の浮体式洋上風力発電の低コスト化が期待される。運転開始を機にその成果を北九州から発信したい」。来賓の資源エネルギー庁の山影雅良省エネルギー・新エネルギー部政策課長は「今後のエネルギー政策は風力発電が主力となる。ただ、再生可能エネルギーを導入するだけでなく低コストがかぎだ。すぐにビジネスに転換するものとなるよう成果を期待している」と述べた。

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