【復興特別版】「石巻南浜津波復興祈念公園」が起工 暮らしの記憶と震災の教訓を伝承 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【復興特別版】「石巻南浜津波復興祈念公園」が起工 暮らしの記憶と震災の教訓を伝承

鍬入れする代表者

 東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市で、震災による犠牲者を追悼・鎮魂し、震災の教訓を後世に伝承する「石巻南浜津波復興祈念公園」の起工式が19日、現地で開かれた。2020年度の完成を目指す。 復興祈念公園は、自然災害に対する初めての国営施設で、岩手県(陸前高田市)と宮城県(石巻市)、福島県(双葉・浪江両町)の被災3県に整備する。石巻に先立ち、5日には岩手で着工している。
 今回整備する南浜地区は、旧北上川下流に位置し、約400人が犠牲となったほか、地震と津波、火災、さらに地盤沈下と複合的な被害を受けた。

完成模型

 公園の全体面積は約38ha。このうち、県は約22.2ha、市は約16.6haを担当し、国は県の敷地約10haに中核となる追悼・祈念施設を整備する。
 公園の基本デザインコンセプトは「浜・街・追悼と伝承の場所性を重ねる」とし、かつて湿地・松原地帯から市街地化され、その後震災に伴う津波などで消失した地域の歴史や暮らしの記憶を伝承する。中心部に休憩所や管理棟、追悼広場、南側に湿地や松原などを再生し、西側に多目的広場、北側に駐車場を配置する。
 国の公園実施設計がドーコン・愛植物設計事務所JV、管理棟は山下設計・ドーコン・栗生総合計画事務所JV、県と市の公園設計はともにドーコンが担当した。市分の施工は高康建設、国の基盤整備は星造園土木が担う。施設の整備は18年度に着手する。県分は、17年度に発注する方針だ。
 東北地方整備局東北国営公園事務所と県、市の共催により開かれた式典には約100人が出席。冒頭、毛利信二国土交通審議官は「震災で最大の被災地となった石巻市では、復興への歩みが着実に進みつつある。震災の記憶を後世に伝承し、国内外に向けた強い意志を発信するため、復興庁や県と連携し、中核施設を整備するとともに、1日も早い復興に全力で取り組んでいきたい」とする石井啓一国交相のあいさつを代読した。
 村井嘉浩宮城県知事は「震災で最大の人的被害を受けた石巻のうち、複合的に被災したこの地で、追悼と鎮魂の場として人々がつながり、震災復興の象徴になることを期待している」と語った。
 亀山紘石巻市長は「犠牲となられた方すべての鎮魂と追悼とともに、未来を担う後世に自然災害の教訓を伝承することが最大の被災地としての務めだ。国内外の多くのお客が訪れてほしい」と述べた。この後、代表者による鍬(くわ)入れが行われた。

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