【東京2020】有明体操競技場を内部公開 木の特徴を生かした空間創出にオリンピアンも好感触 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【東京2020】有明体操競技場を内部公開 木の特徴を生かした空間創出にオリンピアンも好感触

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は22日、東京都江東区で10月の完成に向けて工事が大詰めを迎える有明体操競技場に、3人のオリンピアンを招いて大会開催1年前を建設現場から応援するPRイベントを開き、内部を報道陣に公開した。競技場は新設する大会施設の中で最も多くの木材を使用しており、木の特徴を生かした木アーチ梁を採用することでシンプルな大空間を実現。内部に入ったオリンピアンは「天井がアーチ状になっていることで空間が広く感じる」「観客席との距離が近く、声援を力にできそう」など、アスリートファーストの設計と力を引き出す木のぬくもりに好感触を得ていた。

シンプルな大空間を生み出す木アーチ梁

 競技場には2300m3の木材を使用している。屋根を支える木アーチ梁は世界最長級の88.8mの大スパンで内部の大空間を創出している。基本設計・実施設計監修・監理は日建設計、実施設計・施工は清水建設が担当している。
 外装にも木材をふんだんに使い、日本の伝統的な縁側空間に着想を得た、運河につながるおおらかな軒下空間をつくることで「湾岸エリアに浮かぶ木の器」を演出している。
 日建設計の高橋秀通設計部門ダイレクターアーキテクトは、「選手に使いやすい競技場を目指すとともに、木のぬくもりを感じる施設にした。コンパクトな施設という大会コンセプトに合致させるため、観客席の下部空間はあえてコンコースにした」と説明した。

コンコースは運河につながる おおらかな軒下空間を創出

 軒下空間のコンコースには、木チップ舗装を採用。吸水性があるため、打ち水効果による暑さ対策に貢献するとともに、足にやさしいクッション性も併せ持つ。
 施設はオリンピックが体操、新体操、トランポリン、パラリンピックがボッチャの競技会場となる。施設内に入ったオリンピアンの冨田洋之氏(体操競技)は「木の香りが心地よく、天井も高くて競技がしやすそう」と第一印象を語った。また、田中琴乃氏(新体操)は、「観客と競技をする場が近く、声援を力にできそう」、伊藤正樹氏(トランポリン)は、「選手と客席の距離が近い。完成後が楽しみ」と感想を述べた。
 清水建設の永田正道有明体操競技場建設所長は、「オリンピアンに来ていただいて大変うれしく思っている。外装、観客席にも木を使っている。木のぬくもりで選手に良い成績を残してもらえるよう、心を込めて作業を進めたい」と力を込めた。
 競技場の規模は、S一部木造3階建て延べ3万9194㎡。大会後は延べ2万7459㎡の展示場施設に改修する。

競技場を背後に作業員とフォトセッションする オリンピアン(前列左から冨田、田中、伊藤氏)

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