【武道の精神を表現】大屋根葺き替えや練習道場新設 日本武道館増改修工事が竣工式を開催 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【武道の精神を表現】大屋根葺き替えや練習道場新設 日本武道館増改修工事が竣工式を開催

 日本武道館(東京都千代田区、高村正彦会長)は29日、「日本武道館増改修工事」の竣工式を開いた。東京オリンピック・パラリンピックの会場として、既存本館(大道場)では大屋根の張り替えや夜間ライトアップ工事を施した。また、本館南側に練習会場の中道場棟を新築した。

外観はそのままに全面葺き替え


 1964年の竣工当時と同じく山田守建築事務所が設計、竹中工務店が施工に当たった。夜間ライトアップなどの照明デザインは石井幹子デザイン事務所が担当した。

 本館(地下2階地上3階建て延べ2万1133㎡、高さ約42m)の改修工事では、日本武道館のシンボルと言える八角形の大屋根を、その形から“たまねぎ”と呼ばれる擬宝珠(ぎぼし)などの外観はそのままに、全面的に葺(ふ)き替えた。半世紀を経て緑青色へと変化した銅板は、今回の改修で同じ緑青色のステンレスに葺き替え、荷重軽減、腐食防止、防災性を向上している。

 耐震壁やアリーナ天井部材を追加補強したほか、競技用を含む全館の照明をLED化した。各玄関へ向かう大階段前の石畳をフラット化したほか、点字サイン、常設車椅子スペース、多機能トイレを設置してバリアフリー機能も充実している。

 新設の中道場棟は、地下2階から地下1階まで吹き抜けの中道場(400畳)のほか、会議室、食堂などで構成する。屋根の色は本館と同じ緑青色で、北の丸公園景観との調和を図った。規模はSRC一部S造地下1階地上2階建て延べ3048㎡。
 所在地は北の丸公園2-3の敷地面積1万2625㎡。

 式典では、高村会長、臼井日出男日本武道館理事長、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の布村幸彦副事務総長、山田守建築事務所の東清仁代表取締役会長、石井幹子デザイン事務所の石井幹子社長、竹中工務店の宮下正裕取締役会長らが玉ぐしをささげ、工事の無事完了を祝った。

 式典後の報道説明会で山田守建築事務所の宮原浩輔社長は「竣工時とは、社会情勢や建物へのニーズもオリンピックのあり方も様変わりした。特に安全性、バリアフリーは大きく前進した」、石井社長は「日本の武道の精神を大屋根で表現すること、東京の新しい夜景の代表となることなどをコンセプトにデザインした」、竹中工務店の大嶋康文専務執行役員は「竣工当時の先輩方の苦心を肌に感じつつ、より愛される建物とすべく、設計内容を吟味、理解し、協力会社とも一致協力して本日を迎えた」とあいさつした。

式典会場

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