【虫から着想を得た作品展】養老孟司氏が監修「虫展-デザインのお手本-」 11月4日まで開催 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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【虫から着想を得た作品展】養老孟司氏が監修「虫展-デザインのお手本-」 11月4日まで開催

 多様な虫の姿からデザインを学ぼう--。そんな発想から、東京都港区の21_21DSIGN SIGHTで11月4日まで「虫展-デザインのお手本-」が開かれている。虫をさまざまな角度から考察してそこから得られた情報を元にこれからのデザインの可能性を模索し、作品として展示しようという試みだ。建築家の隈研吾氏ほか多様なアーティストらによる作品が30点ほど展示されている。デザイナーの佐藤卓氏がディレクション、解剖学者の養老孟司氏が監修した。

監修の養老氏

 自然を映しだす虫は身近にいながらほとんどその生態が分かっていない。虫の色、質感、構造、習性には、人間の想像を超える未知の世界が広がっており、人類よりも長い歴史の中で進化を続けてきた多様な姿から、さまざまな創造の可能性が浮かび上がってくる。展覧会はその虫たちを「デザインのお手本」にする。
 出展者は、デザイナー、建築家、構造家、アーティストなどで、虫から着想を得たさまざまな作品を展示している。小さな身体を支える骨格を人工物に当てはめたり、羽をうまくしまう仕組みをロボットに応用したり、幼虫がつくり出す巣の構造を建築で構築したりと、これまでにはないユニークなデザインが不思議な感覚を刺激してくれる。

隈氏らによる人間スケールの「トビケラの巣」

 オープニングで佐藤氏は「最初は虫展を保守的に考えていた。ある日、養老さんが小林(真大)さんという面白い人がいると事務所に連れてきてくれた。最後の展示にあるが、ラオスで蛾と一緒に暮らしておられて、ブレークダンスがものすごく上手な人。どういうことなんですかという感じ。そこで覚醒して、展覧会が見え始めたと言っても過言ではない。養老さんにスイッチを入れていただいた」と述べた。
 養老氏は「自然という言葉をよく使うが、虫という意識的につくっていないものを皆さんにもうちょっと見ていただきたい。そこから何を考えるかは自由。30億年の間にあらゆる問題に直面して生き延びてきた虫は問題集の解答と言える。解答を見て、では問題は何だったのか、そのように虫を見てもらえるとうれしい」と語った。
 開館時間は、午前10時から午後7時。休館日は火曜日。入館料は一般1200円。

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