【年間1500人の研修に対応】フジテック 人材育成と物流機能を一体化した新拠点を開設 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【年間1500人の研修に対応】フジテック 人材育成と物流機能を一体化した新拠点を開設

 フジテックは、人材育成と物流の機能を一体化した新拠点「東京フィット」(TF)を東京都大田区の羽田空港を望む物流倉庫内に設け、8日にグランドオープンした。TF内には、昇降機の据え付け・保守を担うフィールド技術者の研修施設「エクスペリエンスセンター東京」と、首都圏の物流ハブとなる「東京デポ」を併設。両機能を持つ拠点の開設は同社として初めての試みとなる。物流施設では、生産工場で実施している作業を施設内で手掛ける“流通加工”にも取り組んでいる。

研修施設のエクスペリエンスセンター東京


 TFの規模は、物流倉庫の1階と2階の一部、延べ約1万5000㎡。このうち、約3000㎡が研修施設部分となる。

 これまで同社のフィールド技術者研修は、主に大阪府茨木市の研修施設で実施してきた。東日本での受注と保守台数が増加する中、特に首都圏のニーズに対応した技術者の育成が急務となっていたことから、エクスペリエンスセンター東京を開設した。

研修施設のエクスペリエンスセンター東京


 施設内には、エレベーター6台とエスカレーター3台を実装。実機で実践的な研修を実施する。首都圏特有のニーズに応じた研修、協力会社の技術者も受講可能で「年間で延べ1500人の研修に対応できる」(伊藤公一人材開発センターフィールド研修部部長)機能を持つ。

伊藤氏


 物流施設は、先行して2019年7月に開設。高効率な物流体制の構築を目指している。同社の国内物流体制は、国内外のサプライヤーからの部材を滋賀県彦根市や兵庫県豊岡市の工場に配送し、工場で組み立てるなどして現場に搬入していた「バッチ型」だった。東京デポでは、部材を直送してもらい工場でのネジ組みなどの一部作業を施設内で手掛ける“流通加工”を実施し、昇降機据え付け現場に搬入するリードタイムの短縮に注力している。現場への搬入は状況によって異なるものの、これまでの「数日」が「即日」や「1日」で対応できるという。

 施設内は自動化を推進。IoT(モノのインターネット)を駆使して、スピーディーで効率的なオペレーションにつなげている。施設内の「パーツサプライセンター」には、約1万点8000種類の保守用部品を保管。保守やメンテナンスに必要な部品の番号を入力すれば、自動的に部品を持ってくるシステムを取り入れ、部品供給がスムーズになっている。

 TFについて、中山忠久執行役員グローバル物流本部長兼F/TECKY総経理は「勇気がいることだが、あえてやろうと決断し、物流施設に研修施設を整備した。両施設を顧客に見学してもらい、安全・安心の取り組みを実感してもらうことにチャレンジしたい」と述べている。

中山氏


 今後は首都圏の高い品質ニーズに対応できる人材の育成と、物量の増加に対応したさらなる物流効率化を推し進める方針。

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