【高層棟建設での安全を守る】横濱ゲートタワープロジェクトに適用 "外部養生ユニット"とは | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【高層棟建設での安全を守る】横濱ゲートタワープロジェクトに適用 ”外部養生ユニット”とは

 大規模な開発が進む横浜市のみなとみらい21地区の中でも、横浜駅からの玄関口となる58街区で進む「(仮称)横濱ゲートタワープロジェクト建設工事」。最高高さ110mとなる高層棟建設における墜落・転落・飛来落下災害を防止するため、施工者の鹿島・鉄建・小俣JVの杉本健太郎所長(鹿島)が「外部養生ユニット」を開発した。

鉄骨建方に先行して外部側の養生ユニットを完成させる


 高層の鉄骨建築物の建設において「特に危険度が高い」(杉本所長)というのが、鉄骨組立時の物の落下や作業員の転落だ。外部養生ユニットは、最初に鉄骨柱を建てた後、鉄骨柱に沿って火花養生をスライドアップする。続いて、落下防止ユニットを引き上げ、最後に端部の三角ネットを取り付ける。鉄骨建て方よりも先に外側の養生ユニットが完成するため、外周梁と内部鉄骨を建て込む際の墜落・転落・飛来落下のリスクを低減できる。防護がない状態での鉄骨柱上での作業がなく、作業員の安全に大きく寄与する。

 この工法を考え出した杉本所長は「絶対に事故は起こさない」という強い決意のもと、「安全で快適な誰もが働きやすい美しい現場を目指して」を安全の方針に掲げた。実現するため、「『挨拶』『準備』『約束』の3つの軸の融合で、誰にでも分かりやすい、見える安全管理を基本に3現主義(現地・現物・現実)を徹底して、働く仲間のコミュニケーションを活発にした風通しの良い現場運営を目指す」と強調する。こうした安全への強い思いが「外部養生ユニット」の考案につながった。

 プロジェクトの事業者は、鹿島、住友生命保険相互、三井住友海上火災保険の3社で、設計は鹿島が担当した。建物規模は、S造(制振構造)地下1階地上21階建て延べ8万3800㎡で、用途は事務所や店舗、プラネタリウムとなる計画だ。工期は2019年4月1日から21年9月30日まで。出来高ベースの進捗率は40%弱となっている。

 施工に当たり、「お客様の『心に響くものづくり』の実現へ~こだわり+αの心遣いで共に創る~」をスローガンに掲げ、「顧客・設計・施工・協力会社が1つになってものづくりのさまざまな場面でこだわりや心遣いを持って、関係者全員で一緒につくりあげることで、顧客の心に響く建物にしたい」と熱い思いを語る。

 溶接や耐火被覆吹付のロボット、遠隔管理用システムなど“最先端技術の展示場”さながらの現場だが、安全に対する強い思いが最先端でなくても確実に作業員を守れる工法を生み、そうした取り組みが現場の結束感へとつながっている。

最も高い部分で屋上部の鉄骨建て方が進む現場

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