【2020年総括記者座談会】新型コロナ 構造転換促す① | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【2020年総括記者座談会】新型コロナ 構造転換促す①

 2020年は1月以降、世界が新型コロナウイルス感染症拡大防止の対応に追われた。全世界で経済活動が停滞、日本国内でも2020東京オリンピック・パラリンピック開催が1年延期されたほか、社会・教育活動にも大きなブレーキがかかった。コロナ感染防止対策を行いながら施工を進めた建設産業も、民間発注案件を中心に一部発注や引き渡しの延期のほか、海外プロジェクトでは工事中断を余儀なくされた。一方、コロナ禍での産業・企業の対応は、結果として建設DX(デジタル革新)の取り組みを加速させた。20年を総括する。

◆働き方改革、建設DXに拍車/人・モノの移動が停止


A ことしは新型コロナに始まり、コロナで終わる感が非常に強い。建設産業にとってどんな1年だったのだろうか。

B 新型コロナが世界各地に広がり、世界的に人・モノの移動が一時的に止まるという経験は、ほとんどの人間が初めてだったと思う。いまワクチン接種開始というニュースが先行きに少し期待を持たせるけれど、足元は本格的な冬を迎え増加傾向に歯止めがかかっていない。

C 街の雰囲気の暗さはなかなか晴れないけど、コロナの影響を業種別の天気図にすると、建設業は旅行業や飲食・サービス業などの他業種ほど悪くないという見方が多い。施工ストップや発注激減、資金繰り悪化など最悪の局面には至っていないのが理由だ。

D ただ東京都もそうだけど、予算や人員配置などでコロナ対応を優先するために、発注延期などに踏み切るケースが地方自治体では多くなっているね。

E 確かに優先順位で工事発注が遅れたり延期することがあったのは事実だと思うけど、その中でも中小・零細企業への目配りはしていると思う。政府も同じで、コロナ禍でも雇用を維持し経済への影響を極力少なくするには、企業数で99%以上、雇用でも半数を占める中小企業の存続が欠かせないからだ。

F コロナ対応の補正予算で雇用維持にも目配りする考え方は、規模と期間が拡大の一途をたどる雇用調整助成金の存在からも透けて見える。

A その中で建設産業にとってコロナ対応はなにをもたらしたのだろうか。

G 端的に言うと新型コロナが、働き方改革や建設DXの取り組みに拍車をかけた。特に非常事態宣言を受け企業に対し出社制限を要請、各企業は一斉に在宅勤務の拡大に踏み切った。
 結果、オンライン会議や業務のIT化が進んだ。IT化・デジタル化は、本社・支店と各現場をつないだ。特に中小企業に対してはコロナ対応として手厚いIT化促進支援があり、それまでIT・デジタル投資に二の足を踏んでいた中小企業でも、本社と現場がつながり、工事書類作成など業務支援の可能性も一気に高まった。

A 菅政権発足もことしのトピックスだ。

B 経済停滞に警戒感が強く中小企業に目配りをする菅政権は、防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策だけでなく、地域活性化を重視する地方建設業界も歓迎していると思う。

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