◆歴代最長、唯一無二の建築
開港100周年記念事業の一環で建設した七代目市庁舎は1959年に竣工し、2020年に現庁舎に機能を移転するまでの約60年間、横浜の市政を支えてきた。歴代最も長く使われた横浜市庁舎でもある。設計は建築家の村野藤吾が手掛けた。比較的シンプルな外観でありながら、上階に行くほど先細るコンクリートの柱や梁、濃褐色の陶器製タイルが生み出す陰影、ランダムに配置したバルコニーなどがアクセントを与え、唯一無二の庁舎に仕上がっている。
市庁舎周辺にある神奈川県庁本庁舎『キング』、横浜税関『クイーン』、横浜市開港記念会館『ジャック』の3塔に呼応するように、屋上には魚網を模した鉄塔も建っている。
旧庁舎行政棟は、三井不動産を代表とするグループが保存の上、ホテルと商業施設からなる施設に用途転換する。特徴的な外観を継承することで、村野建築が築いてきたまちの景観を守る。
設計者は村野藤吾(村野・森建築事務所)。松屋工務店(1期)と戸田組(現戸田建設、2-4期)が施工した。規模はSRC造地下1階地上8階建て延べ3万0719㎡。所在地は中区港町1-1。