
パイロットプラント
前田道路と地球環境産業技術研究機構(RITE)、住友大阪セメントの3者は、合材工場由来のCO2を固定化するシステムの実装化に向けて、前田道路が持つパイロットプラントを利用した検証を始めた。前田道路の合材工場から排出される排気ガス中のCO2と、コンクリート塊を破砕して製造する再生路盤材や廃棄物として処理されていた生コンクリートスラッジとの炭酸塩化反応を利用した同システムは、1tの再生路盤材に対して、5-15㎏程度のCO2を1時間で固定化できるという。
前田道路と地球環境産業技術研究機構は、合材工場由来のCO2を固定化する技術の基礎研究を2020年から始めている。22年からは住友大阪セメントと技術提携して室内検証を実施し、システムの高度化を図ってきた。今後、パイロットプラントで実機設計の最適化に取り組む。将来的には、全国の合材工場に適用していく考え。
各社の役割として、前田道路はパイロットアスファルトプラントにCO2固定化装置を設置し、排気ガス中のCO2と再生路盤材との炭酸塩化反応の最適条件を検討している。再生路盤材の性状がCO2の固定化に与える影響などを実証する。
地球環境産業技術研究機構は、アスファルト混合材に使われている各種骨材や再生路盤材に、CO2を炭酸塩鉱物として固定する基礎検討を実施している。CO2固定化室内試験のシステムと評価手法を構築し、CO2固定化装置の実用化を目指す。
住友大阪セメントは、生コンスラッジ中の酸化カルシウムと、排気ガス中のCO2との炭酸塩化反応を検証している。濃度、固定化手法、反応性、化学性状といった炭酸塩化反応の最適条件を確かめ、合材工場向けのCO2の固定、再資源化システムの開発を進める。炭酸塩化反応後のスラッジを再生路盤材の原料に使うことで、セメント系廃棄物の低減と合材工場のカーボンニュートラルへの取り組みに役立てる。