神宮外苑地区まちづくりは、港区北青山1丁目、2丁目、新宿区霞ヶ丘町ほかの約28.4haに及ぶ大規模まちづくりプロジェクト。緑豊かな都市景観を保全し、にぎわいあふれるスポーツの拠点をさらに発展させるもので、ポイントは▽老朽化したスポーツ施設の建て替え▽4列いちょう並木の保全▽広場や緑地などオープンスペースの整備――の3点。
■全天候型のラグビー場
新たな野球場は、秩父宮ラグビー場がある位置に計画し、ホテルも併設され、試合以外の楽しさも満載な新たな神宮球場として生まれ変わる。また、神宮野球場と第二球場の位置に計画の国際規格に準拠した全天候型ラグビー場棟は、ラグビー以外のスポーツや、コンサート、イベントなどにも活用し、スポーツとアミューズメントの両方が楽しめる新しいにぎわいの空間となる。日本スポーツ振興センターが実施した「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」の民間事業者選定で「Scrum for 新秩父宮」を選定している。
■緑の未来をつくる
同プロジェクトでは、4列のいちょう並木の保全も大きなポイントの一つ。神宮外苑地区のシンボルである4列のいちょう並木をはじめとした豊かなみどりの保全・継承と新たな樹林地の創造により、地区を南北に貫く「みどりの散策路」を整備する。100年前の記憶をそのままに残す聖徳記念絵画館前の広場を再生するとともに、風格ある象徴的な景観を次世代に継承し、過去と未来が融合する場所を創出する。
さらに、広場や緑地などのオープンスペースの整備と青山通りの機能の複合・高度化として、地区内の回遊性を高めるとともに、さまざまなイベントを実施し、にぎわい醸成する。避難場所としての活用による防災性を向上させる。
樹木の取り扱いについては、いちょう並木の保全のほか、豊かなみどりを継承するため、専門家の意見も取り入れながら慎重に進めていく。エリア全体の樹木数は、既存の1904本から約2000本に増加する。さらに、神宮外苑の新たなみどりの創造に向けた樹木購入の賛助金募集や、「親子でどんぐりを拾おう!in神宮外苑」など自然と触れ合うイベントを地域とともに取り組んでいる。
事業対象地区は、大正期に整備された神宮外苑の都市構造を基盤として、風格ある都市景観と苑内の樹林による豊かな自然環境を備えている。近年では、国立競技場のほか、日本スポーツ協会(JSPO)、日本オリンピック委員会(JOC)の本部ビルである「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」が19年に完成している。スポーツ施設の建て替えを契機とした新たなまちづくりは、100年の刻を重ね、神宮外苑が紡いできたテーマ「みどり」「スポーツ」「歴史・文化」が、オープンに融合、一体化することでさまざまな“鼓動”が生まれる場所に生まれ変わる。
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