新社長インタビュー・青木あすなろ建設 望月尚幸氏 | 建設通信新聞Digital

5月2日 金曜日

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新社長インタビュー・青木あすなろ建設 望月尚幸氏

【独自の強みで存在感発揮】
 青木あすなろ建設の新社長に1日付で望月尚幸氏が就任した。大手ゼネコンでの建築事業やコンサルタントでの戦略立案、中堅ゼネコンでの経営経験といった多様なキャリアを経て、青木あすなろ建設の社長に抜てきされた。「独自の強みを確立し、いつの時代でも必要とされる企業を目指す」と展望する望月社長に経営方針を聞いた。--就任の抱負は
 「私がやるべき会社の改革を進めていく。大規模建築に携わった経験はもちろん、コンサルタントで培った業務改革や戦略立案の力が期待されていると思う。一般的には自社の特性に合った強みを伸ばそうと考えるが、自分は積極的に外部の力も取り入れながら、市場に合った手法で伸ばしていく」
--注力分野は
 「データセンターや冷凍冷蔵倉庫、風力発電、蓄電池といった市場規模の成長が想定できる分野に特化していく。特に建築のリニューアル・コンバージョンに注力する。今年度からリモデル本部を新設しており、当社の強みであるソリューション提案営業で需要を取り込む」
 「提案営業により特命受注を増やせば、営業利益を高められる。単純に受注高を追うのではなく、安定収益の確保を重視し、3年をめどに営業利益5%以上を上げられる企業を目指す」
--人材活用の方針は
 「技術者が本来の施工計画・管理に集中できるよう、事務・書類業務を切り分けて内勤業務のシェアードセンター化を図る。現場で負担となっていた請求や書類業務はIT企業など7社と共同で新たに『スマートBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)』を立ち上げ、外部委託する。将来的には外販も考えている」
 「現場技術者には施工計画・管理に特化させる方針でいる。そのために計画やコスト・工程、設備など特化した部署での経験により自分の強みを持たせていく。業務を細分化することで、スペシャリスト人材として育成する。グローバルな視点を持つ海外技術者の採用も進め、入社してから育成する仕組みへ変更する」
--技術開発については
 「コマツと共同で開発を進めている次世代水中ブルドーザーは2025年大阪・関西万博に展示する。ダムの堆砂除去の効率化など新たな事業領域になると見込んでいる。近年、水害も多発化しており、社会への貢献度も高いことから、事業として成り立たせていきたい」
--社員へメッセージを
 「チャレンジ精神を持ち、仕事を楽しんでほしい。仕事を楽しむことは仕事が楽ということではない。いくら楽な仕事を選んでもやりがいや達成感がなければ仕事は楽しいと思えない。個性や強みをつくり上げて、顧客や協力会社、従業員、グループ会社のためを常に思って仕事や経営をすることで相手が望む提案ができ、喜びが得られる」

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 (もちづき・なおゆき)1987年3月日大理工学部卒後、同年4月清水建設入社。2017年4月同社建築総本部東京支店副支店長、19年1月PwCコンサルティングシニアマネージャー、22年6月日本国土開発取締役兼副社長執行役員建築事業本部長兼安全品質環境本部管掌、23年10月高松コンストラクショングループ顧問、24年6月青木あすなろ建設代表取締役兼副社長執行役員を経て、25年4月から社長兼社長執行役員。神奈川県出身。63年6月24日生まれ、61歳。

【記者の目】
 多様なキャリアに裏打ちされた客観的な分析眼が光る。会社全体として最も力を発揮できる分野を見極めるとともに、社員一人ひとりについてもそれぞれが強みを生かせる体制を果断に取り入れる。モットーである「利他の心」を自ら率先して体現することで、ソリューション提案企業への変革につなげる。趣味はゴルフに加え、茶道をたしなむ。季節を感じ、一期一会を楽しむ風流人の一面も。