正社員技能者・技術者/原則超過の残業年360時間以上/建専連24年度調査 | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

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正社員技能者・技術者/原則超過の残業年360時間以上/建専連24年度調査

【規制適用後も約1割】
 建設産業専門団体連合会(岩田正吾会長)は、正会員団体の加盟企業を対象に2018年度から毎年度実施している「働き方改革における週休2日制、専門工事業の適正な評価に関する調査」の24年度結果をまとめた。「正社員の平均年間残業時間」は、建設業に24年度から適用された時間外労働上限規制の原則を超過する「360時間以上」の割合が技能者、技術者ともに前年度より低下したものの、依然1割を占めた。上限規制適用の影響に関する自由記述は、マイナスの影響が約4割、プラスの影響が約1割、影響なしが約4割だったと整理している。 正会員34団体のうち、26団体の加盟企業から得た回答834件を集計・分析した。団体別回答数は、日本型枠工事業協会(207件)、全国鉄筋工事業協会(150件)、全国建設室内工事業協会(89件)、日本建設躯体工事業団体連合会(54件)、全国コンクリート圧送事業団体連合会(42件)の順に多い。
 正社員の年間平均残業時間を360時間以上と答えた割合は、技能者で8.3%(360時間以上540時間未満5.3%、540時間以上720時間未満2.0%、720時間以上1.0%)、技術者で9.5%(360時間以上6.1%、540時間以上720時間未満2.3%、720時間以上1.1%)。技能者で3.8ポイント、技術者で3.4ポイントそれぞれ低下したものの、上限規制の適用後も原則を超える企業が一定数存在する。
 上限規制が既に適用されているにもかかわらず、上限規制について「聞いたことはあるが、内容は分からない」「知らない」は合わせて21.8%もいた。小規模な事業者ほど認知していない。
 「実際に取得できている休日」は、「4週8休」が0.1ポイント上昇の10.3%にとどまるなど、全体的に大きな変化がなかった。
 新規の調査項目として、4週8休以上をどの程度の現場で確保していたかを尋ねたところ、「ほとんどの現場で確保していた」は8.9%だった。
 就業規則などで休日を「4週8休以上」に設定しているのは27.5%で、1.6ポイント上昇にとどまる。それより少ない日数で休日を設定している企業が答えた週休2日制を導入できない理由は、「適切な工期が確保できないため」「元請け企業が休ませてくれないため」の順に多く、前年度から変わっていない。
 上限規制適用の影響に関する自由記述は約200件あった。約4割を占めたマイナスの影響は経営面が特に多く、「売り上げや営業機会が減った」「割増賃金の負担がきつい」「従業員を休ませる分、外注費や新規システム導入でコストが掛かる」などの声が上がった。
 約1割あったプラスの影響では、「業務効率化や平準化に取り組む契機になった」「発注者に残業の抑制を要望できるようになった」などの意見がみられた。