【大阪事務所が目指す持続可能性とは?/技能向上と領域を超えた連携促進】
安井建築設計事務所の大阪事務所長に、小林直紀常務執行役員が就任した。顧客のニーズや社会の課題に応える持続可能な建築に対する需要が高まる中、成長を継続し、受託の拡大を図るため、「所員の技能技術向上と、領域を超えた連携やマネジメントの在り方などを模索していきたい」と語る小林氏に、大阪事務所の受託状況や今後の展開などについて考えを聞いた。 「環境やサステナビリティに関わる都市、地域、社会課題の解決に、100年にわたって事務所の培ってきた経験と知恵を礎にして、新しい建築づくりで寄与していきたい」と抱負を語る。事務所長のポストにとまどいを感じつつも、「覚悟し、役割を果たしたい」と前を見据える。
大阪事務所は、西日本を主に広範囲をカバーしている。「五つの領域が設計部をはじめとする13の部で構成され、多様なプロジェクトやニーズに対して柔軟に応じ、顧客に品質の高いサービスの提供を可能にする体制」を整えている。「お膝元である関西圏を中心に受託は堅調で、福岡に拠点のある九州も同様。受託額は近年一定の割合で伸びてきており、継続したい」と力をこめる。
官民比率は約2対3で、「交通、文化、教育、庁舎、医療、研究、生産など多様な分野にチャレンジしている」と説明する。「専門性や技術力向上と同時に、受託の拡大を図りたい。各領域・各部のリソースと業務の調整・運営、必要に応じた外部連携が重要で、総合的マネジメントが課題」と考えている。
大阪事務所の所員数は、210人を超えている。この10年で約1.5倍となった所員構成は、「20―30歳代と40―50歳代の割合が同程度」となっている。40歳代はやや少ないものの、「各年代とも均等」になった。
「人員確保の点で言えば、40代が手薄なので、多様性を確保するためにも年代構成はできるだけバランスよくしたい。若い人たちが持つ感性や発想を大切にしながら、事務所としての経験・知見をベースに、しっかりとした新しい価値を生む仕事をつくっていきたい」と考えている。
「建築とはプロセス」が持論で、「単に物理的な建物を指すのではない。構想、設計から建設、その後の供用で、人やまちとの関係や価値を生むプロセスであり、建物と隔てられるゆえんだ」と強調する。
入社以来30年以上にわたり幅広いジャンルの設計に携わってきた。リノベーション計画で関わったのが、「大阪ガスビルディング」だ。創業者・安井武雄が本館を設計。そして後継者である佐野正一が北館の一体増築を手掛け、大阪を代表する建築でもある。
「近代化の洗練が始まった都市との不可分な関係が90年以上となったプロセスは、まちの社会的・空間的な価値をうみ、未来にも通用するポテンシャルを持ち続ける」と語る。大阪事務所の持続的な発展を期し、「若いスタッフの成長、チームワークの強化に注力する。社会との連携を深め、地域に根差したプロジェクトや社会貢献にも力を入れたい」と熱を込める。
* *
(こばやし・なおき)1990年3月神戸大大学院工学研究科建築学専攻修了後、同年4月安井建築設計事務所入社。大阪事務所設計部長、設計領域本部長などを経て2025年4月から現職。趣味は、折りたたみ自転車を使った、NHKの『ブラタモリ』のように地域の特徴である自然や歴史、文化を感じるまち巡り。今年の自分自身のテーマは「凡事徹底」。奈良県出身、59歳。
安井建築設計事務所の大阪事務所長に、小林直紀常務執行役員が就任した。顧客のニーズや社会の課題に応える持続可能な建築に対する需要が高まる中、成長を継続し、受託の拡大を図るため、「所員の技能技術向上と、領域を超えた連携やマネジメントの在り方などを模索していきたい」と語る小林氏に、大阪事務所の受託状況や今後の展開などについて考えを聞いた。 「環境やサステナビリティに関わる都市、地域、社会課題の解決に、100年にわたって事務所の培ってきた経験と知恵を礎にして、新しい建築づくりで寄与していきたい」と抱負を語る。事務所長のポストにとまどいを感じつつも、「覚悟し、役割を果たしたい」と前を見据える。
大阪事務所は、西日本を主に広範囲をカバーしている。「五つの領域が設計部をはじめとする13の部で構成され、多様なプロジェクトやニーズに対して柔軟に応じ、顧客に品質の高いサービスの提供を可能にする体制」を整えている。「お膝元である関西圏を中心に受託は堅調で、福岡に拠点のある九州も同様。受託額は近年一定の割合で伸びてきており、継続したい」と力をこめる。
官民比率は約2対3で、「交通、文化、教育、庁舎、医療、研究、生産など多様な分野にチャレンジしている」と説明する。「専門性や技術力向上と同時に、受託の拡大を図りたい。各領域・各部のリソースと業務の調整・運営、必要に応じた外部連携が重要で、総合的マネジメントが課題」と考えている。
大阪事務所の所員数は、210人を超えている。この10年で約1.5倍となった所員構成は、「20―30歳代と40―50歳代の割合が同程度」となっている。40歳代はやや少ないものの、「各年代とも均等」になった。
「人員確保の点で言えば、40代が手薄なので、多様性を確保するためにも年代構成はできるだけバランスよくしたい。若い人たちが持つ感性や発想を大切にしながら、事務所としての経験・知見をベースに、しっかりとした新しい価値を生む仕事をつくっていきたい」と考えている。
「建築とはプロセス」が持論で、「単に物理的な建物を指すのではない。構想、設計から建設、その後の供用で、人やまちとの関係や価値を生むプロセスであり、建物と隔てられるゆえんだ」と強調する。
入社以来30年以上にわたり幅広いジャンルの設計に携わってきた。リノベーション計画で関わったのが、「大阪ガスビルディング」だ。創業者・安井武雄が本館を設計。そして後継者である佐野正一が北館の一体増築を手掛け、大阪を代表する建築でもある。
「近代化の洗練が始まった都市との不可分な関係が90年以上となったプロセスは、まちの社会的・空間的な価値をうみ、未来にも通用するポテンシャルを持ち続ける」と語る。大阪事務所の持続的な発展を期し、「若いスタッフの成長、チームワークの強化に注力する。社会との連携を深め、地域に根差したプロジェクトや社会貢献にも力を入れたい」と熱を込める。
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(こばやし・なおき)1990年3月神戸大大学院工学研究科建築学専攻修了後、同年4月安井建築設計事務所入社。大阪事務所設計部長、設計領域本部長などを経て2025年4月から現職。趣味は、折りたたみ自転車を使った、NHKの『ブラタモリ』のように地域の特徴である自然や歴史、文化を感じるまち巡り。今年の自分自身のテーマは「凡事徹底」。奈良県出身、59歳。