そこが聞きたい・ナカノフドー建設常務執行役員国内建設事業本部長/高尾 功氏 | 建設通信新聞Digital

6月15日 日曜日

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そこが聞きたい・ナカノフドー建設常務執行役員国内建設事業本部長/高尾 功氏

【国内建設事業本部が目指す姿は?/全国で補完し合える組織体制】

 ナカノフドー建設の常務執行役員国内建設事業本部長に高尾功氏が就任した。同社では2026年3月期から28年3月期までを計画期間とする中期経営計画「中計86」が始まった。国内建築事業は、人材育成と社内外連携により、差別化を図って利益を上げることを主な施策としている。そのため、「各拠点の強みを生かしつつ弱みを互いに補い、全国で一致できる組織体制をつくっていきたい」と意気込む高尾氏に今後の方針について聞いた。 人材育成と社内外連携を進める上で、「次世代人材を育てることが大きな役割の一つ」と語る。「各拠点と連携しながら、若手だけでなく、次期所長クラスの育成を進める」構えだ。作業所員だけでなく、技術や積算部門についても、異動などを取り入れながら拠点間で標準化し、全社的に能力の水準を高めていく。そのために積極的な人材の交流を図る。「受注状況を考慮し、長期ではなく短いスパンで人事交流を促し、さまざまな経験を積ませたい」としている。
 また、「20代後半や30代前半の若手所長を早期に配属するため、数年先を見て組織を活性化させるべく、計画的に教育していきたい」とし、「ストレスなく長く活躍できるように、個別の能力を見極めて人材育成を進める」など、組織強化のための教育体系の整備に意欲を示す。
 生産性向上の鍵も若手の育成だという。「現場への若手社員の配属を着工時から前倒しし、施工図や施工計画書の作成を担当してもらう取り組みを下期から始めたい」との考えを明かす。「まったく知識がなく現場に配属されるよりも、事前に学習した上で現場に入ることで、個人だけでなく現場全体の生産性も上がる」と期待を寄せる。
 建設市場については、「労務環境や物価高騰などに不透明感があり、企画の段階から顧客と協議を進めていく考え方になっている」と指摘。労務や資材の確保も含め、受注形態に合わせた組織づくりをする重要性を強調する。
 その上で、「来期までの受注環境は安定しているが、2、3年先は競争が厳しくなってくるのではないか」と見ており、「数年先を見据え、企画力、概算力、顧客への迅速な対応ができる組織にしていく」と力を込める。「協力会社組織である友愛会とも企画、概算段階からタッグを組んで単価、労務を確保し、スピーディーに施工に着手できる体制を構築する」としている。
 土木事業は、開発を伴う民間建築工事に携わって受注・完工量を増やして人材強化を図りつつ組織を拡充していく方針だ。「最終的には官庁工事にも受注範囲を広げられる体制をつくる」と将来を見据える。建築事業は、企画、概算案件を受注するため、情報収集力を付ける。従来顧客だけでなく、新規開拓にも対応していく。
 健康で長生きできる職場環境の整備も重要視する。「定年は65歳だが、再雇用の対象である70歳まで健康に働ける環境を構築する」。作業所の環境改善により、所員の離職率も下がっており、「残業の削減などに取り組み、4週8閉所率をさらに上げる」とも。

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 (たかお いさお)1988年3月芝浦工大工学部建築学科卒後、同年4月不動建設(現ナカノフドー建設)入社。東北や関東で多くの現場を経験。2011年10月名古屋支社工事部長、16年4月同営業統轄部長、18年4月同副支社長、21年4月執行役員名古屋支社長を経て、25年4月から現職。趣味は読書、娘と遊ぶこと。仕事をする上では、時間を守ることやスピーディーさを大切にしている。東京都出身。