【チャレンジできる風土に】
東急建設の新社長に24日付で就任予定の久田浩司常務執行役員業務統括は、「チャレンジできる風土、提案の声が上がってくる会社にしたい」と力を込める。営業畑のキャリアを歩み、足掛け20年ほど地方勤務などを経験してグループの中核地・渋谷を“外”から見てきた。だからこそ気が付く「グループのありがたさ、渋谷のポテンシャルの高さ」があるという。就任を間近に控える久田氏に、今後のかじ取りを聞いた。
--抱負を
「2021年から進めている10年間の長期経営計画の、ちょうど折り返し地点がスタートする。最大の役割は計画の達成だ」
--具体的には
「計画では、土木・建築やリニューアルなどをコア事業、海外展開や不動産事業・新規事業などを戦略事業と位置付け、後者の割合を25%まで引き上げようとしている。そのために今、再生可能エネルギー分野に注力している。蓄電所、太陽光オフサイトPPA(電力購入契約)事業などに力を入れており、実績も上がってきた。加えて、官民連携にも注力する。地方自治体の技術職員が減少する中、民間への委託ニーズは増えてくると思う」
--足元の事業環境は
「建設セクターの事業環境は非常に良い。受注残が積み上がり、営業面での競争環境は比較的緩やかだ。加えて、東急グループで進める“100年に1度”の渋谷の大規模再開発は2期工事に突入し、駅街区の中央・西棟や東急百貨店本店跡地での工事も始まっている。事業環境は非常に明るい」
「一方の外部環境は、中東情勢が不安材料だ。現時点では、工期に影響は出ていないものの、防水材などが入手しづらくなっていることも耳にする。サプライチェーンの混乱がどこまで長引くかは予想しにくいが、情報をキャッチしながら早めに手を打っていく」
--注力事業は
「まず“渋谷”をやりきることだ。事業のボリュームはおおむね1兆円規模で、対応するにはリソースが必要だ。人員確保をはじめ、場合によってはM&A(企業の合併・買収)も考えることが必要になるかもしれない。選択肢を広げながら、プロジェクトに少しでも多く携われるように頑張りたい」
「土木事業では、鉄道分野が一番の強みだ。需要はまだまだ底堅く、東急電鉄以外の民営鉄道からも、連続立体交差化事業や、ホームドア工事などの引き合いがある」
--AI(人工知能)の活用は
「デジタル分野は非常に力を入れている。昨年からは社内専用の対話型生成AI『TQA』の全社展開を始めた。4月にはデジタル専門の部署も立ち上げ、内部にAIの専門組織もできた。AIによる業務の代替を進め、人的リソースを顧客対応業務に回していきたい」
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(ひさだ・こうじ)1987年3月鹿児島大法文学部卒後、同年4月東急建設入社。2017年4月執行役員九州支店長、21年4月執行役員建築事業本部法人営業統括部長、23年4月執行役員管理本部長、24年4月常務執行役員経営戦略本部長、26年4月から現職。鹿児島県出身。62年12月30日生まれ、63歳。
【記者の目】
久田氏の原点はおそらく、九州支店時代にある。現地では当時、官庁トンネル工事を10年以上落札できなかった。「何とか取りたい」。そんな空気が漂う中、パソコンにかじりついて入札結果を待っていた若手が突然、立ち上がって歓声を上げたという。画面には「東急建設」の文字があった。「土木も営業も、建築も総務も関係なく、大宴会で祝った。建設業の営業は、多くの人が助け合う、企業の総合力の勝負だ。1人の力で仕事は取れない」。そう語った上で「だからこそ、私は続けてこられたのかな」と振り返った姿に職業人としての機微を見た。
