労務費や資材価格の上昇分が適切に価格転嫁されず、原価を下回る赤字工事になったことがある割合が、地方自治体で全体の約4割、民間発注者で約5割に上ることが、全国建設業協会(今井雅則会長)の会員調査で分かった。国土交通省の発注工事でも、回答企業の約3割が、赤字が発生したケースがあると報告している。
都道府県建設業協会の会員1877社の回答を集計した「2026年度発注関係事務の運用状況等に関するアンケート報告書」によると、契約後の価格上昇に伴う発注者・注文者との変更協議が円滑に行われていない割合は、国交省で4.1%、都道府県・政令市で7.3%、市区町村で14.2%、民間発注者で20.8%となった。変更協議自体を申し入れていない割合も、それぞれ15.0%、25.4%、30.6%、36.5%を占めた。
続いて、価格上昇分の契約変更が行われず、原価を下回る赤字工事になったケースがあるかを聞いたところ、「かなりある(6割以上)」「ある(3-6割)」「あまりない(3割未満)」の合計は、国交省が30.6%、都道府県・政令市が42.9%、市区町村が46.9%、民間発注者が52.5%だった。
契約変更が行われた場合でも、「変更金額に落札率が反映されることで、価格上昇分が十分に補●(ほてん)されない」などといった指摘が会員企業から上がっている。
また、急激な物価変動を踏まえたスライド条項の申請・適用状況によると、全体では「申請して適用された」が2割強、「申請しなかった」が6割強を占めた。発注者別に見ると、申請して適用された割合は、国交省が4割強、都道府県・政令市が3割強、市区町村が2割弱。民間発注者は、申請しなかったが7割強に上り、「契約書に条項がなく申請できなかった」も約1割あった。
自由意見によると、スライド条項については、受注者の1%負担ルールを見直してほしいという要望が根強い。このほか、手続きの簡素化や短工期工事でも活用しやすくする適用要件の見直しなどを求める声も寄せられている。
一方、施工条件の変化などに伴う必要な設計変更(請負額変更)が、おおむね行われている割合は、国交省が99.0%、都道府県・政令市が96.5%、市区町村が91.8%、民間発注者が84.0%となった。資材価格などの変動を理由とする場合に比べると、現場条件の変化に対しては金額変更が認められやすい傾向にあると言えそうだ。
契約変更に関する問題点を尋ねたところ、国交省では「事務作業負担が大きい」「提出を求められる書類が多い」の回答割合が高い一方、都道府県・政令市では「変更金額に落札率を乗じられてしまう」、市区町村と民間発注者では「予算がないとの理由で変更に応じてもらえない」が多くなっている。
