基本設計に来年度着手/浅野文庫専門図書館整備/広島市 | 建設通信新聞Digital

5月11日 土曜日

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基本設計に来年度着手/浅野文庫専門図書館整備/広島市

 広島市は、中央図書館移転に伴い、同図書館収蔵の「浅野文庫」の専門図書館を整備する。2023年度内に策定する基本計画をベースに、24年度から基本設計に着手する。24年度予算案には、地質調査、基本設計のための経費965万円を計上するとともに、25年度までの基本・実施設計費の債務負担行為1億7700万円を設定した。
 市の図書館の歴史は、江戸期250年間を統治してきた浅野家によって建設された浅野図書館が起源となっている。1926年(大正15年)の浅野図書館開館以降、原爆による書籍の焼失や狭あいによる建物の移転を経験しながら、74年の市立中央図書館新築・移転開館を機に、同図書館に浅野文庫を設置した。
 昨年には、中央図書館をJR広島駅前の商業施設であるエール・エールA館をリニューアルし、移転することが決まり、浅野文庫については貴重な古文書などの保存・継承や調査・研究、資料収集、展示、図書閲覧などを目的とする郷土の文化と歴史の専門図書館として別途整備することに決めた。
 基本計画(案)では、建設地として、浅野家とゆかりの深い候補地の中から、市長公館(中区幟町2-6)を廃止し、同敷地内約1900㎡を優位とした。施設外観は、景観計画重点地区(縮景園周辺地区)、リバーフロント・シーフロント地区のエリアであることに留意し、近接する県立美術館や縮景園などで構成される景観と調和するよう配慮する。諸室は、収蔵、閲覧・研究、展示・活動、事務・管理などの各エリアで構成し、想定面積は約2400㎡(3階建て)を見込んでおり、設計時に詳細を検討した上で決定する。運営方法は他の図書館と同様に指定管理者制度を活用する。
 概算事業費は約37億円と試算している。24年度に新施設基本設計に着手し、25年度に実施設計、市長公館解体実施設計をまとめる。26年度着工、28年度完成、29年度開館を目指す。