新年度から基本設計/広大跡地「知の拠点」整備/広島市 | 建設通信新聞Digital

5月10日 金曜日

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新年度から基本設計/広大跡地「知の拠点」整備/広島市

 広島市は、広島大学本部跡地での平和に関する「知の拠点」整備の一環として計画する旧理学部1号館の保存・活用について、平和に関する教育研究等の新たな拠点として整備するための基本設計などに2024年度から着手する。24年度予算案には、基本設計と既存躯体の劣化状況調査などの経費として約1900万円を計上している。
 中区東千田町1にある同大本部跡地は、かつて広島の教育の中心として栄えてきた経緯を踏まえ、同大など6大学の長で構成する有志懇談会から「ひろしまの『知の拠点』再生プロジェクト」が提案され、市の基本計画の中で各種都市機能の集積による新たな都心空間を創出することと位置付け、取り組みを推進してきた。
 跡地全体の敷地9.2haのうち、旧理学部1号館がある敷地0.6haを「知の拠点」の核となる「知の継承エリア」とし、施設の保存・活用に関して懇談会や検討会などを通じて方針の策定、方針の具体化について協議。この中で、市立大と広島大に研究機関の移転を要請し、両大学が移転の方針を決め、平和に関する教育研究等の新たな拠点整備に向け検討を進めてきた。
 旧理学部1号館は、学都広島としての歴史を象徴する建物であり、被爆建物でもあることを踏まえ、「知の拠点」にふさわしい保存・活用について検討された。施設概要は、RC造3階建て延べ約8500㎡(建築面積約2800㎡)。理学部が東広島市のキャンパスに移転してからは閉鎖されている。さまざまな検討プロセスを経て、被爆建物としての保存と平和に関する教育研究などの拠点としての活用を一体的に行うという視点から施設整備や保存範囲の具体化に向け、基本計画の作成を進めている。