連載・人事戦略2024(3)コンサル | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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連載・人事戦略2024(3)コンサル

【新卒採用に苦戦、中途強化も/成長へ拡大基調強まる】
 日刊建設通信新聞社が実施した建設コンサルタントの人材採用調査に回答した19社のうち、2024年4月の新卒採用者数が前年実績を上回ったのは10社。この中で「予定どおり確保できた」のはパシフィックコンサルタンツ、建設技術研究所、大日本ダイヤコンサルタント、長大、パスコ、復建調査設計、中央復建コンサルタンツの7社だった。日本工営といであは「最終的に予定枠を確保できなかった」とし、日水コンも「予定枠確保に苦労した」としている。
 前年を下回った9社のうち、応用地質とNJS、アジア航測の3社は「予定どおり確保できた」と回答。国際航業は「予定枠の確保に苦労した」、オリエンタルコンサルタンツ、八千代エンジニヤリング、エイト日本技術開発、ニュージェック、オオバの5社は「確保できなかった」とした。
 24年4月の新卒採用者数は、19社合計で前年実績比6.4%増の971人。予定枠の確保に苦労した、確保できなかったと回答した企業からは「応募者の伸び悩みに加え、辞退率の増加傾向が見られた」(日本工営)、「内定者の辞退防止に苦労した」(オオバ)といった声とともに、「予想以上に採用活動が早期化しているように感じた」(いであ)、「学生の早期化する動きに対し、母集団形成に苦労した」(ニュージェック)などと売り手市場が続く中で就職活動の早期化も人材の獲得競争に拍車を掛ける。
 予定枠を確保できた企業からも「人数は予定数確保することができたが、職種により偏りがあった」(長大)、「就職活動の活発化でエントリー者数が分散化し母集団形成に苦労した」(大日本ダイヤコンサルタント)、「売り手市場のため、例年よりも確保が困難であり、質を維持して採用することに苦慮した」(アジア航測)といった声には苦戦ぶりが伝わる。
 今後の採用計画では、新卒採用を7社が「増やす」とし、11社が「現状維持」、1社が「減らす」予定とした。中長期ビジョンなどで事業領域の拡大など成長戦略を描く企業の多くは業務量の拡大に応じて従業員数を今後さらに伸ばす計画を打ち出しており、11社が中途採用を「増やす予定」と回答したように、即戦力の確保や年齢別の人員バランス改善、新たな事業分野進出などの観点から従前以上に中途採用に力を入れる企業も目立つ。
 実際に25年4月の新卒採用計画を見ると、19社合計の最大値が1100人となり、前年比13.3%増と拡大基調が強まる。
 「採用ブランディングの強化による母集団形成の拡大」(日水コン)、「インドの大学に在籍する大学生を新卒として直接採用」(エイト日本技術開発)、「ダイレクトリクルーティング、リファラル採用」(国際航業)など採用増に向けた独自の取り組みとともに、ほぼ全ての企業が23年度に賃上げを実施し、24年度も実施を表明または検討中とするなど処遇改善にも取り組んでいる。 (布田勉)