取引適正化へ行動計画改定/日建連 出発点は受発注者間 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

団体

取引適正化へ行動計画改定/日建連 出発点は受発注者間

塩見国交省不動産・建設経済局長(右)に要望書を手渡す井上日建連副会長
 日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、「下請取引適正化と適正な受注活動の徹底に向けた自主行動計画」を改定するとともに、中小企業庁の下請Gメンの指摘を踏まえた「徹底プラン」を策定した。国の方針に沿って、サプライチェーン全体の取引を適正化する。改定に合わせ、計画遂行の出発点となる発注者の理解獲得などについて、国土交通省に協力を要請した。
 自主行動計画は2017年3月に制定し、これまでに2回改定、今回で3回目の見直しとなる。国交省の「建設業の法令順守ガイドライン」や、内閣官房・公正取引委員会の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」などを踏まえ、所要の改定を行った。
 行動計画の「基本的な考え方」に、元請け・下請け間だけでなく、資材業者など建設関連の中小企業者との取引でも、配慮を徹底すると明記。自社の働き方改革の実施によって、下請負人の働き方改革を阻害し、不利益となるような取引や要請は行わない旨も追記した。設備工事などの後工程へのしわ寄せ回避も意味している。
 また、下請けからの打診を待つだけでなく、労務賃金の動向を踏まえ、適宜元請負人から、協力会社との協議の場を設けると規定。協議では、下請負人が公表資料に基づき提示した価格を尊重する。
 徹底プランでは、書面で合意した現金払いの手形払いや、一方的に提供・貸与した安全衛生保護具などの諸費用の合意なき下請け代金からの差し引きを「絶対に実施しない事項」に明文化。政府が掲げる「26年までの約束手形の利用廃止」を踏まえ、電子記録債権の電子的決済手段への移行促進や手形サイトの60日以内化などを「可能な限り実施する事項」に位置付けた。
 改定自主行動計画と徹底プランは、22日に開いた理事会で決議した。実効性を担保するため、日建連の井上和幸副会長・総合企画委員長は25日、国交省の塩見英之不動産・建設経済局長に要望書を手渡した。サプライチェーン全体での取引適正化には、その出発点として発注者と元請け企業との適正な取引が前提になると指摘し、公共・民間の発注者に対して、適正な請負代金の設定や支払い条件の改善、適正な工期の確保を強く働き掛けるよう求めた。
 26年の約束手形廃止などの政府方針をそもそも知らない中小企業が多いという知名度や支払い側と受け取り側の利用する電子債権記録機関が異なる場合に利用できないという互換性の課題にも言及し、これらの解決に向けた関係省庁への働き掛けを要望した。