野村不動産などは、中野サンプラザの跡地開発を含む「中野四丁目新北口駅前地区第一種市街地再開発事業」の施行認可申請を取り下げた。同社を代表とするグループは引き続き事業に参画し、計画の見直しを進める。東京都中野区の担当者は「できる限り小規模な変更にとどめたい」との考えを示している。
同事業を巡っては、2600億円と想定していた事業費について、特定業務代行者である清水建設が、工事想定額が900億円程度上昇する見込みであることを野村不動産に伝え、9月2日には区にも連絡した。これを受けて区は同月3日に施行認可手続きを保留していた。その後10月11日に野村不動産から認可申請を取り下げたい旨の連絡が区を経由して認可権者である東京都に伝えられた。
区はできる限り小規模な変更にとどめ、コンセプトや機能は維持していきたい考え。解体着工前の中野サンプラザの維持管理費は区が100%出資しているまちづくり中野21が引き続き負担し、旧区役所は中野区が負担していく予定だ。区の担当者は「事業者に費用負担を求めるのは、実質的には難しい」と話している。
また、隣接して都市再生機構が進めている「中野四丁目新北口駅前地区基盤整備工事」についても、中野サンプラザの跡地に建設される施設と接続されるデッキ部分やそれに伴う施工の調整が必要になることから工事費や工期が変動する可能性がある。
計画地は、中野区庁舎や中野サンプラザ跡地などがある中野四丁目の約2.3ha。当初の計画では、延べ約29万8000㎡の複合ビル(住戸は約1100戸)を建設する予定だった。
施行予定者は、野村不動産を代表とするグループ。共同事業者として東急不動産、住友商事、JR東日本が参画している。当初はヒューリックも参画していたが、6月までに不参加を決めていた。当初の事業費は1810億円としていたものの、その後、物価高騰などによって事業費の増額を繰り返していた。
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