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【動画ニュース】大規模木造、構造設計の魅力に迫る/水戸市民会館

最終更新 | 2024/11/29 13:17

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Arupの江村氏

 木製の柱と梁を組み合わせた幅20mの「やぐら広場」は、水戸市民会館(水戸市)のシンボルとも言える空間で、森の中にいるような圧倒的なスケール感に魅了される。こうした人の記憶に残る建築をつくり上げる上で欠かせないのが、構造設計という仕事だ。一般には深く知られていない存在だが、世界最大規模の国際エンジニア集団・Arupでシニア構造エンジニアを務める江村哲哉氏が「良い建築物には必ず、良い建築設計者と良い構造設計者がいる」と話すように、構造設計の魅力は奥深い。同館の構造設計を手掛けた江村氏に、現地を案内してもらいながら構造の世界に迫った。

水戸市民会館の外観


やぐら広場


 エントランス広場から入り、ロビーを抜けると現れるのが「やぐら広場」だ。高さ約19mもの柱は森の中の木のように、力強く立ち上がっている。柱に対して縦と横方向の梁をずらしながら組み合わせた「やぐら組」という工法で大迫力の空間を実現。この“ずらし”のデザインが荒々しさを生み、迫力を生んでいる。

 このような大規模な建築物に木材を使うためには「耐火」、つまり「火に強い」必要がある。そこでこの場所では、施工者の竹中工務店が開発した耐火集成材「燃エンウッド」を使用した。

中心から木材、モルタル、木材の3層構造の燃エンウッド


 燃エンウッドは、中心から木材、モルタル、木材の3層構造で、火災が発生した場合、まず一番外側の木材部分が燃えていく。江村氏は、「木は塊だとゆっくりと燃えるため、1時間以上燃え続けても耐えられる。モルタルは火に強く、熱を吸収する性質があり、建物を支える中心部の木材は燃えない」と解説する。

 3階に上がると、やぐら広場の大空間を支える構造体が間近で見られる。通常木造の場合、屋根を軽くして柱・梁への荷重を低減させるが、やぐら広場の屋上は芝生広場で非常に重く、木造の柱・梁だけでは耐えられない。そこで考えられたのが、斜めに渡された白い部材だ。この部材は鉄骨で、木材が持つ性質の弱い部分を補強する役割を果たしている。

縦と横方向の梁をずらしながら組み合わせた「やぐら組」


 これは「前例がない構造」だといい、建設時、「仮設の柱を建てて木の柱・梁と鉄骨部材でトラスを組み、最後に仮設材を外して荷重をトラスにかける瞬間は、非常にドキドキした。計算どおりの動きをしたため、非常に安堵(あんど)したのを覚えている」と率直に語る。

 鉄骨が白く見えているのは、鉄は熱伝導率が高く、火災時、鉄から木材に熱が伝わるのを防ぐため、カバーで覆っているためだという。

 力強さを感じさせる木の柱・梁とスタイリッシュな印象の鉄骨は構造を支えるだけでなく、その対比がデザインのアクセントにもつながっている。このような見せる構造は「人の目に触れるため、考えるべきことが多く緊張感がある」としながらも、その面白さを語る。

 

◆動画ニュースはこちら
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 次に見学したのが2000席の大ホールだ。ホールを囲む壁はコンクリートでできており、これにより建物全体の耐震性能を確保している。遮音にはコンクリートが一番良い素材だといい、「せっかくコンクリートを使うなら、構造的にも有効に使おうと考えた。建物全体にかかる地震の力をこの壁で負担できるように、厚さ55-75cm程度と、非常に厚い壁でできている」と説明する。

大ホール


 高い音響性能を確保する秘密もある。コンクリートの壁の全面を職人が機械を使ってたたき、表面に凹凸をつけ、音が広く、柔らかく拡散する仕掛けを施した。空間のアクセントにもなっている。壁に取り付けられた反響板も高い音響性能を確保するために重要で、水戸市で有名な梅の花を模した。

大ホールの凹凸のついた壁


 2・3階席の床は、壁に対して跳ね出している片持ちの状態で、揺れに特に気を使う必要があったため、プレストレストコンクリートを使用した。コンクリートの中にケーブルを入れ、そのケーブルを引っ張ることで、「非常に堅く、揺れにくい床ができあがっている」という。これにより、音楽ライブなどで観客が飛び跳ねても揺れない頑丈な床を実現した。

 中ホールはボックスインボックス構造を採用。コンクリートの箱の中に、防振ゴムを使って鉄骨の箱を接続する入れ子状の特殊な構造で、これにより、周囲や大ホールの音と振動がホール内に伝わらないという。

 屋上に上がると、磯崎新が設計した水戸芸術館のシンボルタワーがすぐ横に現れる。構造設計は梅田スカイビルや京都駅を手掛けた建築構造の大家・木村俊彦によるもので、「日本の構造設計の世界をリードしてきた偉大な方だ。だからこそ、水戸芸術館に負けないものにしなければならないという覚
悟があった」と振り返る。

 魅力ある建築物をつくる上で江村氏が強調するのが、「構造設計が建築家の想像の範囲内にとどまっていては勝負できない」ということだ。

 構造設計の道に進むきっかけの一つとなった丹下健三設計の国立代々木競技場に感銘を受けた際のエピソードを挙げ、「構造家・坪井善勝さんが構造設計を手掛けたこの建築を見たとき、ほかに似たものがない素晴らしい建築だと思った。坪井さんが設計したものなのではないかと思うほど、その役割の大きさを実感した」とし、「構造設計が建築物の在り方に影響を与えられるという側面がある」からこそ、建築家と構造家のコラボレーションで生まれる無限の可能性を信じる。

 設計の過程では、「建築家の意図を理解することが何より求められる。何度も対話するだけでなく、その建築家の作品を見るなど、スタイルを想像することも大切だ」と話す。

 クライアントでもある建築家の思いを読み解くことも重要だが、「利用する人たちに良いものだと感じてもらえる建築物にしたい。建築家に言われたからこの答えを選んだということにはしたくない。自分自身が納得できる答えを出すことが、より良い建築物をつくることにつながる」と思いを込める。

 建築を学ぶ学生に向け、「建築物の中心的な部分に関われるというのは非常に面白い。ぜひ構造の分野ものぞいてみてほしい」と語り掛ける。

 取材協力・日本建築構造技術者協会(JSCA)

◇水戸市民会館概要

▽建築設計=伊東豊雄建築設計事務所・横須賀満夫建築設計事務所JV
▽構造設計=Arup
▽施工=竹中・株木・鈴木良・葵・関根JV
▽規模=RC・S・木造地下2階地上4階建て延べ2万3232㎡(一部に商業・業務施設、駐車場)
▽建設地=水戸市泉町1-7-1
▽開業=2023年7月

 

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