【建物長寿命化】県内初のリファイニング建築! 生まれ変わる「秋田フォーラス」 | 建設通信新聞Digital

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【建物長寿命化】県内初のリファイニング建築! 生まれ変わる「秋田フォーラス」

吹き抜け周囲をブレースで補強

 JR秋田駅前のシンボルとして長年にわたり親しまれてきたファッションビル「秋田フォーラス」が生まれ変わる。1974年に建てられ、老朽化した同ビルを時代のニーズに合った建物として再生させるため、建築家の青木茂氏による「リファイニング建築」の手法を採用。建物の長寿命化に向けた軽量化と耐震補強が進んでいる。
 リファイニング建築は、既存躯体の約80%を再利用しながら軽量化や補強により耐震性能を高め、長寿命化を図る手法で建て替えの6-7割までコストを抑えられる。これまで集合住宅を始め商業施設や病院などで100件以上の実績があるが、秋田県内では今回が初めて。現場となる秋田フォーラスの規模はSRC造地下1階地上8階建て塔屋2層延べ2万0227㎡で、(仮称)秋田フォーラスリファイニング工事の建築設計は青木茂建築工房、施工は鉄建建設・シブヤ建設工業JVと小西造型が担当。改修を経て10月に「秋田オーパ」としてリニューアルオープンする。
 リファイニング建築の柱となる軽量化を実現するため、1-4階には連続した吹き抜けを設けた。既存の床に9m角の開口を開けるとともに、新設された吹き抜けの周囲と1-4階のエスカレーター前には耐震補強のための鉄骨ブレースを断面的に交互に配置。一般的なK型ブレースの採用によりコストを抑えるとともに、付随するボルトは木質素材で覆う意匠的な処理を施すことで、フロア内の開放感を高めて居心地の良い空間の創出を目指した。
 南外壁面には外部露出したRC耐震壁を構築。通常は梁と柱に囲まれた壁を外側にずらし、意匠として見せる構造にすることで南側のファサードを一新する。さらに、地下階の柱は鉄板巻きとRC巻きにより補強した。

青木氏(左)と加藤所長

 改修に当たり全体的な補強の配置を南側に集中させることで建物の固さの中心となる剛心と重心を近づけ、バランスの良い建物とする補強計画を立てた。「建物の軽量化を図ることで耐震補強個所を減らすことができる」と青木氏は強調する。
 解体を進める中でコンクリートの爆裂や露筋、クラックを始めとする経年劣化なども多数見つかった。鉄建建設の加藤巧所長は「劣化個所やクラックなどは想定より3倍ほど多かった」と明かす。青木茂建築工房の甲斐大器氏も「既存の躯体の老朽化が激しく、前施工の不良などもあり難易度が高い」と現場特有の苦労を語る。
 8月には施主を始め関係者への理解を深めるための現場見学会を実施した。青木氏は「現状を見て納得してもらいたい」と狙いを語り、「われわれとゼネコンだけでなく、オーナーとテナントも同じ目線で一体とならないといけない」と力を込める。

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